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EUとのEPA あの輸入品、輸出品はどうなる?
2018年7月17日 18時41分日EU・EPA
17日に署名された日本とEUのEPA=経済連携協定。その具体的な内容をまとめました。
主な輸入品の関税は
日本とEUのEPAでは、日本が輸入する農産品や工業品などの関税撤廃率はおよそ94%におよび、TPPに迫る高い水準です。
このうち、農林水産品の関税撤廃率は、およそ82%となりました。
具体的な品目では、チーズでは日本で消費が多いカマンベールといった「ソフトチーズ」などで、最大3万1000トンの輸入枠を新たに設けます。そして、その枠内で関税を年々削減し、協定発効の15年後に撤廃します。
「脱脂粉乳」や「バター」は、原料の生乳に換算して、最大1万5000トンまでの低い関税の枠を新たに設けます。
「ワイン」は、一般的な750ミリリットル入りのボトル分にかけている最大でおよそ94円の関税を、「スパークリングワイン」も750ミリリットル入りのボトル分で、最大およそ137円の関税を協定が発効して即時撤廃します。
「パスタ」に現在かけている1キロ当たり30円の関税や「チョコレート菓子」にかけている10%の関税も協定発効の10年後に撤廃します。
繊維製品や履き物などの工業品の関税撤廃率は、100%です。
乳製品やワインなどこれまでよりEUの製品が安く輸入しやすくなるため、消費者にとってはメリットになる一方、酪農家など生産者にとっては影響が懸念されています。
このため政府は、去年まとめた政策大綱に基づいて、国産チーズの品質を高めてブランド化につなげるための生産者の取り組みを支援するなど、農業の競争力を強化することで影響を防ぎたい考えです。
主な輸出品の関税は
一方、日本の輸出品にEUがかけている関税撤廃率は、およそ99%になりました。
「乗用車」は、現在の10%の関税が協定が発効した7年後に撤廃されるほか、「自動車部品」は、エンジン関連部品やタイヤなど貿易額ベースで92.1%の品目の関税が協定が発効して即時、撤廃されます。
日本が主力とする自動車産業にとっては、5億人の人口を誇る大きなEU市場への輸出を拡大するチャンスとなります。
農林水産品でも、和食などの日本食ブームで輸出が増加傾向にある「しょうゆ」や「緑茶」、それに、「日本酒」などのほとんどの品目で関税が即時撤廃されます。
政府が農林水産物の輸出額を来年までに1兆円とする目標を掲げる中で、EPAが発効すれば、EU域内に輸出を増やすきっかけになると期待されています。
地域ブランドの保護も
日本とEUのEPAが発効すれば、GIと呼ばれる「地理的表示保護制度」に基づいて、日本とEUがそれぞれ登録した特産品が地域ブランドとして保護されます。
日本の産品では「神戸ビーフ」や「夕張メロン」「市田柿」など48品目が対象になっていて、これらについては、特定の地域で生産するといった条件を満たしていないものは、「神戸ビーフ」などの名前で販売できなくなります。
逆に、チーズの「ゴルゴンゾーラ」などEUの71品目についても、一定の条件を満たさなければ、日本国内ではその名前で販売できなくなります。
双方が地域ブランドを守ることで、特産品の生産を後押しする効果が期待されます。
一方でこの制度をめぐっては、愛知県内のみそメーカーなどの組合が申請した「八丁味噌」が国の地域ブランドに登録されたことについて愛知県岡崎市の老舗の2社が国に対し産地の決め方が納得できないなどとして、国に登録を取り消すよう求める問題も起きています。
EUとのEPA あの輸入品、輸出品はどうなる?
2018年7月17日 18時41分日EU・EPA
17日に署名された日本とEUのEPA=経済連携協定。その具体的な内容をまとめました。
主な輸入品の関税は
日本とEUのEPAでは、日本が輸入する農産品や工業品などの関税撤廃率はおよそ94%におよび、TPPに迫る高い水準です。
このうち、農林水産品の関税撤廃率は、およそ82%となりました。
具体的な品目では、チーズでは日本で消費が多いカマンベールといった「ソフトチーズ」などで、最大3万1000トンの輸入枠を新たに設けます。そして、その枠内で関税を年々削減し、協定発効の15年後に撤廃します。
「脱脂粉乳」や「バター」は、原料の生乳に換算して、最大1万5000トンまでの低い関税の枠を新たに設けます。
「ワイン」は、一般的な750ミリリットル入りのボトル分にかけている最大でおよそ94円の関税を、「スパークリングワイン」も750ミリリットル入りのボトル分で、最大およそ137円の関税を協定が発効して即時撤廃します。
「パスタ」に現在かけている1キロ当たり30円の関税や「チョコレート菓子」にかけている10%の関税も協定発効の10年後に撤廃します。
繊維製品や履き物などの工業品の関税撤廃率は、100%です。
乳製品やワインなどこれまでよりEUの製品が安く輸入しやすくなるため、消費者にとってはメリットになる一方、酪農家など生産者にとっては影響が懸念されています。
このため政府は、去年まとめた政策大綱に基づいて、国産チーズの品質を高めてブランド化につなげるための生産者の取り組みを支援するなど、農業の競争力を強化することで影響を防ぎたい考えです。
主な輸出品の関税は
一方、日本の輸出品にEUがかけている関税撤廃率は、およそ99%になりました。
「乗用車」は、現在の10%の関税が協定が発効した7年後に撤廃されるほか、「自動車部品」は、エンジン関連部品やタイヤなど貿易額ベースで92.1%の品目の関税が協定が発効して即時、撤廃されます。
日本が主力とする自動車産業にとっては、5億人の人口を誇る大きなEU市場への輸出を拡大するチャンスとなります。
農林水産品でも、和食などの日本食ブームで輸出が増加傾向にある「しょうゆ」や「緑茶」、それに、「日本酒」などのほとんどの品目で関税が即時撤廃されます。
政府が農林水産物の輸出額を来年までに1兆円とする目標を掲げる中で、EPAが発効すれば、EU域内に輸出を増やすきっかけになると期待されています。
地域ブランドの保護も
日本とEUのEPAが発効すれば、GIと呼ばれる「地理的表示保護制度」に基づいて、日本とEUがそれぞれ登録した特産品が地域ブランドとして保護されます。
日本の産品では「神戸ビーフ」や「夕張メロン」「市田柿」など48品目が対象になっていて、これらについては、特定の地域で生産するといった条件を満たしていないものは、「神戸ビーフ」などの名前で販売できなくなります。
逆に、チーズの「ゴルゴンゾーラ」などEUの71品目についても、一定の条件を満たさなければ、日本国内ではその名前で販売できなくなります。
双方が地域ブランドを守ることで、特産品の生産を後押しする効果が期待されます。
一方でこの制度をめぐっては、愛知県内のみそメーカーなどの組合が申請した「八丁味噌」が国の地域ブランドに登録されたことについて愛知県岡崎市の老舗の2社が国に対し産地の決め方が納得できないなどとして、国に登録を取り消すよう求める問題も起きています。