風力発電の開発拡大…原発再稼働が遅れる中、電気料金値下げにつながるか
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190506-00010000-yomonline-bus_all
2019/5/6(月) 7:02配信 YAHOO!JAPAN NEWS、読売新聞オンライン
大手電力が再生可能エネルギー事業を積極化させている。収益の柱だった原子力発電の再稼働が遅れる中、有力な収益源となり、電気料金の値下げにつながるのか、現状と課題を探った。(編集委員 倉貫浩一)
原発2基分の再生エネ、導入目指す
東北電力は、3月に再生エネ事業を統括する取締役による会議体を作った。7月には専門の部署を作り、本格的に再エネ事業に乗り出す。手始めは、秋田県に大手商社の丸紅が計画している洋上風力発電事業への出資だ。国内の再エネ事業者が主導する秋田沖の事業にも参加する。
10〜20年間で、原発2基分にあたる200万キロ・ワットの再生エネ導入を目指し、実現すれば、再生エネの構成比率は6ポイント増えて20%に上昇するという。
東京電力も、銚子沖に洋上風力発電事業を展開するほか、再生エネで発電した電力販売にも乗り出す。
2012年に、再生エネの電力を一定価格で大手電力が買い取る固定価格買い取り制度(FIT)が導入され、日本の再生エネ比率は10年の10%から16%まで高まった。再生エネで発電した電力を高値で買い取ってもらえるので、新規参入企業が急増したためだ。
こうした中、大手電力が自社で再エネ事業に乗り出してきた背景には、原発の再稼働の遅れがある。
東電、東北電の原発は再稼働しておらず、再稼働している九州電力などの原発についても、原子力規制委員会は今月、テロ対策施設が期限内に完成しなければ運転停止を命じる方針を決めた。二酸化炭素の排出量が多い石炭火力発電に逆風が強まっていることも、背中を押している。
一方で、電気を送るための送電網の能力不足が原因で、再生エネ事業者の発電設備を大手電力の送電線に十分につなぐことができない問題が解決していない。
大手電力は、送電網の増設や運用方法の見直しなど、再生エネ事業者の受け入れを増やす対策を強いられ、現場は疲弊している。このため、「FITを追い風に再生エネ事業者に市場を侵食されるなら、自前で乗り出したほうがいい」(大手電力幹部)との考えもある。
人材、ノウハウの蓄積が不十分…海外頼みに
だが、大手電力の再生エネ事業が順調に拡大するかは不透明な点も多い。
これまで、原発と火力発電に注力してきたため、開発や運営面で風力発電について人材やノウハウの蓄積があまりない。東電はデンマークの世界最大の洋上風力発電事業者のアーステッド社と提携した。
設備や料金面でも課題がある。現状でも日本の風力発電設備容量の約65%は海外製だが、日立製作所が風力発電設備の生産から撤退を決めており、今後、海外比率は高まることが確実だ。風力発電の拡大が、国内の関連産業の活性化につながるのか分からない。
FITによって高値で買い取られた再生エネの価格は、消費者に転嫁される。特に、太陽光の急増が料金高止まりの原因となっている。一方、風力発電の買い取り価格は事業用の太陽光よりも高い。
また、建設に時間がかかり、設備を海外から調達するため、事業コストが海外に比べて1・5倍高い。今後、風力発電の拡大が値下げにつながるかどうかは見通せない。
4〜5月に晴天に恵まれると、需給バランス崩れ…技術的問題も
再生エネには技術的な問題もある。
冷房や暖房の使用が急減し、電力使用量が減る4〜5月は、晴天に恵まれると、太陽光の発電量が急激に増え、需要と供給のバランスを維持しにくくなる。放置すれば、停電の恐れがあるため、九州電力は、太陽光の再生エネ事業者に発電量の抑制を求めている。
再生エネの変動をならすには、大型の蓄電池に余った電力をためることで対応できるが、現状では、決定打とはなり得ない。北海道電力が持つ大規模蓄電池の建屋は、約5000平方メートルと一般的な小中学校の体育館の4倍程度にあたる広大な敷地に建設されているが、10万キロ・ワット程度の風力発電の出力変動にしか対応できず、コストも高い。
無論、蓄電池などに急速な技術革新が起こり、再生エネの出力変動を容易にならすことができるようになる可能性もある。
原発と火力発電に頼ってきた大手電力の経営陣は、将来を見据えて、どこに重点投資すべきか、難しい判断を迫られている。
専門的な人材集めたい…東北電力 岡信副社長
■以下省略、続きは↓
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2019/5/6(月) 7:02配信 YAHOO!JAPAN NEWS、読売新聞オンライン
大手電力が再生可能エネルギー事業を積極化させている。収益の柱だった原子力発電の再稼働が遅れる中、有力な収益源となり、電気料金の値下げにつながるのか、現状と課題を探った。(編集委員 倉貫浩一)
原発2基分の再生エネ、導入目指す
東北電力は、3月に再生エネ事業を統括する取締役による会議体を作った。7月には専門の部署を作り、本格的に再エネ事業に乗り出す。手始めは、秋田県に大手商社の丸紅が計画している洋上風力発電事業への出資だ。国内の再エネ事業者が主導する秋田沖の事業にも参加する。
10〜20年間で、原発2基分にあたる200万キロ・ワットの再生エネ導入を目指し、実現すれば、再生エネの構成比率は6ポイント増えて20%に上昇するという。
東京電力も、銚子沖に洋上風力発電事業を展開するほか、再生エネで発電した電力販売にも乗り出す。
2012年に、再生エネの電力を一定価格で大手電力が買い取る固定価格買い取り制度(FIT)が導入され、日本の再生エネ比率は10年の10%から16%まで高まった。再生エネで発電した電力を高値で買い取ってもらえるので、新規参入企業が急増したためだ。
こうした中、大手電力が自社で再エネ事業に乗り出してきた背景には、原発の再稼働の遅れがある。
東電、東北電の原発は再稼働しておらず、再稼働している九州電力などの原発についても、原子力規制委員会は今月、テロ対策施設が期限内に完成しなければ運転停止を命じる方針を決めた。二酸化炭素の排出量が多い石炭火力発電に逆風が強まっていることも、背中を押している。
一方で、電気を送るための送電網の能力不足が原因で、再生エネ事業者の発電設備を大手電力の送電線に十分につなぐことができない問題が解決していない。
大手電力は、送電網の増設や運用方法の見直しなど、再生エネ事業者の受け入れを増やす対策を強いられ、現場は疲弊している。このため、「FITを追い風に再生エネ事業者に市場を侵食されるなら、自前で乗り出したほうがいい」(大手電力幹部)との考えもある。
人材、ノウハウの蓄積が不十分…海外頼みに
だが、大手電力の再生エネ事業が順調に拡大するかは不透明な点も多い。
これまで、原発と火力発電に注力してきたため、開発や運営面で風力発電について人材やノウハウの蓄積があまりない。東電はデンマークの世界最大の洋上風力発電事業者のアーステッド社と提携した。
設備や料金面でも課題がある。現状でも日本の風力発電設備容量の約65%は海外製だが、日立製作所が風力発電設備の生産から撤退を決めており、今後、海外比率は高まることが確実だ。風力発電の拡大が、国内の関連産業の活性化につながるのか分からない。
FITによって高値で買い取られた再生エネの価格は、消費者に転嫁される。特に、太陽光の急増が料金高止まりの原因となっている。一方、風力発電の買い取り価格は事業用の太陽光よりも高い。
また、建設に時間がかかり、設備を海外から調達するため、事業コストが海外に比べて1・5倍高い。今後、風力発電の拡大が値下げにつながるかどうかは見通せない。
4〜5月に晴天に恵まれると、需給バランス崩れ…技術的問題も
再生エネには技術的な問題もある。
冷房や暖房の使用が急減し、電力使用量が減る4〜5月は、晴天に恵まれると、太陽光の発電量が急激に増え、需要と供給のバランスを維持しにくくなる。放置すれば、停電の恐れがあるため、九州電力は、太陽光の再生エネ事業者に発電量の抑制を求めている。
再生エネの変動をならすには、大型の蓄電池に余った電力をためることで対応できるが、現状では、決定打とはなり得ない。北海道電力が持つ大規模蓄電池の建屋は、約5000平方メートルと一般的な小中学校の体育館の4倍程度にあたる広大な敷地に建設されているが、10万キロ・ワット程度の風力発電の出力変動にしか対応できず、コストも高い。
無論、蓄電池などに急速な技術革新が起こり、再生エネの出力変動を容易にならすことができるようになる可能性もある。
原発と火力発電に頼ってきた大手電力の経営陣は、将来を見据えて、どこに重点投資すべきか、難しい判断を迫られている。
専門的な人材集めたい…東北電力 岡信副社長
■以下省略、続きは↓
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