https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190624-00036589-biz_plus-sci
世界最大の次世代5G通信機器メーカーである中国の華為技術(ファーウェイ)を安全保障上のリスクとみなし、
同社と米企業や海外企業が取引できないようにする禁輸措置やさらなる脅しを次々と繰り出す米トランプ政権。
米国製の技術や部品を禁輸にすることで、中国企業やその取引先を瞬殺できる「経済的な武器」の威力が世界に示された。
ますます米中貿易戦争が激化する中、米国の次のターゲットになるのは、急速に世界市場に進出を始めた中国車ではないか――。
その理由を以下に示す。
●ここまで進んだ中国車のコネクティビティ
モビリティー時代を迎えた中国では、急速にクルマのソフトウエア化、人工知能(AI)化、電気自動車(EV)化、自動運転化やサービス化など、
「ガソリンではなくデータで走る」コネクテッドカーの開発が急ピッチで進行中だ。
興味深いことに、トランプ政権にブラックリスト指定されたファーウェイは激しく吹き荒れる逆風にもかかわらず、6月にスマートカー事業部を設立した。
2025年には全世界で2252億ドル(24兆4171億円)規模に成長すると予想されるコネクテッドカー市場において主導的立場を確保するためだ。
ファーウェイは自動車設計・製造に参入するのではなく、“黒子”として、大手自動車メーカーのコネクテッドカー開発を後方で支える構図だ。
ファーウェイの技術を搭載した最初のコネクテッドカーは、中国市場と欧州市場において2021年にデビューが予定されている。
手始めにファーウェイは、新型SUVのGS5で欧州市場に参入を予定する中国自動車大手の広州汽車集団(GAC)、
独フォルクスワーゲンのアウディや日本のトヨタ自動車との合弁に供給する情報通信技術や通信部品の開発に専念する。
加えて、新エネルギー車向けパワーモジュールの開発や販売を手掛ける北京新能源汽車、中国自動車大手「ビッグ5」の一角を占める
重慶長安汽車との連携も強化する。またファーウェイは、ビッグ5の中でもさらに「トップ3」に分類される中国第一汽車集団(FAW)と
上海汽車集団(SAIC)、さらに有力メーカー吉利汽車(ジーリー、Geely)の親会社である浙江吉利控股集団の傘下にある
スウェーデンのボルボとも提携して、自動車デジタルコックピット開発を加速させている。
特に重要なのは、ファーウェイが世界最先端の自社開発5G技術を駆使して、コネクテッドカー向けコンピューティングの
プラットフォームとクラウドサービス分野における主要サプライヤーになる野望を隠していないことだ。
※中略
もしハッカーたちがコネクテッドカーのシステムへの侵入に成功すれば、遅延がない遠隔操作で位置情報や個人情報を含むデータにアクセスし、
それらを改ざんや窃取するだけでなく、車両のセキュリティシステムを無力化して解錠や運転のフルコントロールを奪うことさえ可能だ。
こうした意味で、コネクテッドカーはセキュリティやプライバシーの塊であると言えよう。
また、乗車する者の命を乗せて走行し、歩行者や別のクルマの運転者・乗客の命に危害を加え得るため、5G機器が乗っ取られて
サイバー攻撃に悪用されることと同等の安全保障上のリスクを内包している。
中国政府がコネクテッドカーのデータやシステムにアクセス・操作することに対する懸念が高まる中、中国国有自動車大手のFAWと
5Gコネクテッドカーの共同研究を行うと発表していたフィンランドのノキアが6月10日、「センシティブな事業」を中国の外に移すと明らかにした。
これに5Gコネクテッドカーの共同研究が含まれるかは不明だが、中国政府系のコネクテッドカー研究や開発の安保上の心配は、
今後の業界の関心事になってゆくだろう。
同じく交通系分野においては、世界最大の鉄道車両メーカーである中国中車(CRRC)が首都ワシントンのメトロ地下鉄に5億ドルという、
他国の競合と比較して極めて安価かつ魅力的なコストを提示して、新型車両の納入契約を締結することを目指している。
しかし、同社が国有企業であり、車両内の乗客に対するデータ窃取や運行システムのハッキングが可能になるとのセキュリティ懸念から、
米議会に阻止の動きがある。
今、データ通信の基幹である5Gや重要インフラの交通機関において、中国製品を排除する統一的かつ組織的な流れが、
超党派の動きとして米国で起こっている。この大きな“排華”のうねりが、巨大な米国市場制覇を狙う中国車に向くのは時間の問題だ。
世界最大の次世代5G通信機器メーカーである中国の華為技術(ファーウェイ)を安全保障上のリスクとみなし、
同社と米企業や海外企業が取引できないようにする禁輸措置やさらなる脅しを次々と繰り出す米トランプ政権。
米国製の技術や部品を禁輸にすることで、中国企業やその取引先を瞬殺できる「経済的な武器」の威力が世界に示された。
ますます米中貿易戦争が激化する中、米国の次のターゲットになるのは、急速に世界市場に進出を始めた中国車ではないか――。
その理由を以下に示す。
●ここまで進んだ中国車のコネクティビティ
モビリティー時代を迎えた中国では、急速にクルマのソフトウエア化、人工知能(AI)化、電気自動車(EV)化、自動運転化やサービス化など、
「ガソリンではなくデータで走る」コネクテッドカーの開発が急ピッチで進行中だ。
興味深いことに、トランプ政権にブラックリスト指定されたファーウェイは激しく吹き荒れる逆風にもかかわらず、6月にスマートカー事業部を設立した。
2025年には全世界で2252億ドル(24兆4171億円)規模に成長すると予想されるコネクテッドカー市場において主導的立場を確保するためだ。
ファーウェイは自動車設計・製造に参入するのではなく、“黒子”として、大手自動車メーカーのコネクテッドカー開発を後方で支える構図だ。
ファーウェイの技術を搭載した最初のコネクテッドカーは、中国市場と欧州市場において2021年にデビューが予定されている。
手始めにファーウェイは、新型SUVのGS5で欧州市場に参入を予定する中国自動車大手の広州汽車集団(GAC)、
独フォルクスワーゲンのアウディや日本のトヨタ自動車との合弁に供給する情報通信技術や通信部品の開発に専念する。
加えて、新エネルギー車向けパワーモジュールの開発や販売を手掛ける北京新能源汽車、中国自動車大手「ビッグ5」の一角を占める
重慶長安汽車との連携も強化する。またファーウェイは、ビッグ5の中でもさらに「トップ3」に分類される中国第一汽車集団(FAW)と
上海汽車集団(SAIC)、さらに有力メーカー吉利汽車(ジーリー、Geely)の親会社である浙江吉利控股集団の傘下にある
スウェーデンのボルボとも提携して、自動車デジタルコックピット開発を加速させている。
特に重要なのは、ファーウェイが世界最先端の自社開発5G技術を駆使して、コネクテッドカー向けコンピューティングの
プラットフォームとクラウドサービス分野における主要サプライヤーになる野望を隠していないことだ。
※中略
もしハッカーたちがコネクテッドカーのシステムへの侵入に成功すれば、遅延がない遠隔操作で位置情報や個人情報を含むデータにアクセスし、
それらを改ざんや窃取するだけでなく、車両のセキュリティシステムを無力化して解錠や運転のフルコントロールを奪うことさえ可能だ。
こうした意味で、コネクテッドカーはセキュリティやプライバシーの塊であると言えよう。
また、乗車する者の命を乗せて走行し、歩行者や別のクルマの運転者・乗客の命に危害を加え得るため、5G機器が乗っ取られて
サイバー攻撃に悪用されることと同等の安全保障上のリスクを内包している。
中国政府がコネクテッドカーのデータやシステムにアクセス・操作することに対する懸念が高まる中、中国国有自動車大手のFAWと
5Gコネクテッドカーの共同研究を行うと発表していたフィンランドのノキアが6月10日、「センシティブな事業」を中国の外に移すと明らかにした。
これに5Gコネクテッドカーの共同研究が含まれるかは不明だが、中国政府系のコネクテッドカー研究や開発の安保上の心配は、
今後の業界の関心事になってゆくだろう。
同じく交通系分野においては、世界最大の鉄道車両メーカーである中国中車(CRRC)が首都ワシントンのメトロ地下鉄に5億ドルという、
他国の競合と比較して極めて安価かつ魅力的なコストを提示して、新型車両の納入契約を締結することを目指している。
しかし、同社が国有企業であり、車両内の乗客に対するデータ窃取や運行システムのハッキングが可能になるとのセキュリティ懸念から、
米議会に阻止の動きがある。
今、データ通信の基幹である5Gや重要インフラの交通機関において、中国製品を排除する統一的かつ組織的な流れが、
超党派の動きとして米国で起こっている。この大きな“排華”のうねりが、巨大な米国市場制覇を狙う中国車に向くのは時間の問題だ。