※デイリー新潮
官僚はITが苦手?
「大学入学共通テストを受験する皆さん、なるべくスマホに『COCOA』をダウンロードしましょう」──こんな記事が1月13日、朝日新聞の名古屋地方版に掲載された。
***
記事の見出しは「いよいよ大学入学共通テスト 直前・本番で気をつけることは?」というものだった。
感染対策の専門家でもある医大の教授は、朝日新聞の取材に対し、以下のようにアドバイスしている。
《ほかの受験生に感染させないためにも、試験日の14日前から自分と家族の健康チェックと検温をしてください。濃厚接触者になっていないか確認するため、接触確認アプリ「COCOA(ココア)」をなるべくスマートフォンにダウンロードしましょう》
だが、朝日新聞は2月4日の朝刊1面に「接触通知、4カ月届かず 『COCOA』アンドロイド用で障害 新型コロナ」との記事を掲載した。
更に同日、電子版で「接触確認アプリ障害、首相『お粗末だ』 予算委で答弁」と報じた。
それまでは医師も推奨する優良アプリだった。しかし2月3日に不具合が発覚してからは、首相が「お粗末」と切って捨てる欠陥アプリに転落してしまったのだ。
■日本一のDL数
COCOAをダウンロード(DL)する人は多かった。1月25日に共同通信が「アプリDL数、ココアが首位 コロナで上位にズーム、ウーバー」との記事を配信している。
アメリカの調査会社が、「2020年、ゲームを除いて、日本で最もダウンロードされたスマホアプリ」を発表した。その1位がCOCOAだったのだ。記事によると1月21日の時点で、ダウンロードの件数は2397万件だったという。
しかし、COCOAと聞いても「?」という向きも決して少なくないだろう。一体、どのようなアプリだったのか。担当記者が改めて解説する。
「AとBがスマホにCOCOAをインストールし、更にBluetoothを起動させているとします。
AとBが1メートル以内に15分以上、接近した状態が続くと、互いのスマホに『接触情報』が残ります。
この接触情報は個人情報が特定されないよう暗号化され、14日間が経過すると自動的に破棄されます」
■田村厚労相は謝罪
だが、仮にコロナの自覚症状を感じたAさんがPCR検査を受け、陽性が判明したとする。保健所はAさんに「処理番号」を発行し、その番号をAさんはCOCOAに入力する。
「もしBさんのスマホにAさんとの『接触情報』が14日以内で残っていれば、Bさんのスマホに通知が届く。これがCOCOAのシステムです」(同・記者)
今回、発覚した不具合は「感染者との接触があっても通知されない状態が昨年9月以降、アンドロイド端末で続いていた」というものだった。
Aさんが番号をスマホに入力しても、Bさんのスマホがアンドロイドだったら、通知は来ないというわけだ。
田村憲久・厚生労働相(56)は「信頼を損ねる状況。お詫び申し上げます」と謝罪。菅義偉首相(72)も衆議院予算委員会で「お粗末なことだった」とし、「二度とこうしたことがないように緊張感を持って対応したい」と答弁した。
厚労省によると、アンドロイド版のダウンロード件数は全体の3割、約770万件に上るという。
■欠陥は“周知の事実”
ITジャーナリストの井上トシユキ氏は「『お詫びを申し上げる』とか、『お粗末』とか、そんなことを言っても、ほとんど意味はないですよね」と手厳しい。
「今回の致命的な欠陥には開いた口が塞がりません。3割の人が正確な情報を受け取れなかったという時点で、全く意味のないアプリだったと言うことです。
それどころか、接触していても『接触していない』という誤情報を流した可能性さえありますから、感染を拡大させかねない有害アプリでしょう」
前出の朝日新聞によると、厚労省は不具合の把握について、《今年に入り「陽性者と接触しているはずなのに通知が来ない」といった指摘が相次ぎ、実際の端末で確認したところ、障害が判明した》と説明したという。
だが、TwitterなどのSNS上では、少なくとも昨年の秋頃から、不具合を訴えたり、プログラムの問題点を指摘したりする投稿は、相当な量にのぼっていた。
井上氏は、「COCOAが問題のあるアプリだということは、IT業界では周知の事実でした」と振り返る。
■COCOA=欠陥住宅
2021年2月8日 17時0分
https://news.livedoor.com/article/detail/19664315/
官僚はITが苦手?
「大学入学共通テストを受験する皆さん、なるべくスマホに『COCOA』をダウンロードしましょう」──こんな記事が1月13日、朝日新聞の名古屋地方版に掲載された。
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記事の見出しは「いよいよ大学入学共通テスト 直前・本番で気をつけることは?」というものだった。
感染対策の専門家でもある医大の教授は、朝日新聞の取材に対し、以下のようにアドバイスしている。
《ほかの受験生に感染させないためにも、試験日の14日前から自分と家族の健康チェックと検温をしてください。濃厚接触者になっていないか確認するため、接触確認アプリ「COCOA(ココア)」をなるべくスマートフォンにダウンロードしましょう》
だが、朝日新聞は2月4日の朝刊1面に「接触通知、4カ月届かず 『COCOA』アンドロイド用で障害 新型コロナ」との記事を掲載した。
更に同日、電子版で「接触確認アプリ障害、首相『お粗末だ』 予算委で答弁」と報じた。
それまでは医師も推奨する優良アプリだった。しかし2月3日に不具合が発覚してからは、首相が「お粗末」と切って捨てる欠陥アプリに転落してしまったのだ。
■日本一のDL数
COCOAをダウンロード(DL)する人は多かった。1月25日に共同通信が「アプリDL数、ココアが首位 コロナで上位にズーム、ウーバー」との記事を配信している。
アメリカの調査会社が、「2020年、ゲームを除いて、日本で最もダウンロードされたスマホアプリ」を発表した。その1位がCOCOAだったのだ。記事によると1月21日の時点で、ダウンロードの件数は2397万件だったという。
しかし、COCOAと聞いても「?」という向きも決して少なくないだろう。一体、どのようなアプリだったのか。担当記者が改めて解説する。
「AとBがスマホにCOCOAをインストールし、更にBluetoothを起動させているとします。
AとBが1メートル以内に15分以上、接近した状態が続くと、互いのスマホに『接触情報』が残ります。
この接触情報は個人情報が特定されないよう暗号化され、14日間が経過すると自動的に破棄されます」
■田村厚労相は謝罪
だが、仮にコロナの自覚症状を感じたAさんがPCR検査を受け、陽性が判明したとする。保健所はAさんに「処理番号」を発行し、その番号をAさんはCOCOAに入力する。
「もしBさんのスマホにAさんとの『接触情報』が14日以内で残っていれば、Bさんのスマホに通知が届く。これがCOCOAのシステムです」(同・記者)
今回、発覚した不具合は「感染者との接触があっても通知されない状態が昨年9月以降、アンドロイド端末で続いていた」というものだった。
Aさんが番号をスマホに入力しても、Bさんのスマホがアンドロイドだったら、通知は来ないというわけだ。
田村憲久・厚生労働相(56)は「信頼を損ねる状況。お詫び申し上げます」と謝罪。菅義偉首相(72)も衆議院予算委員会で「お粗末なことだった」とし、「二度とこうしたことがないように緊張感を持って対応したい」と答弁した。
厚労省によると、アンドロイド版のダウンロード件数は全体の3割、約770万件に上るという。
■欠陥は“周知の事実”
ITジャーナリストの井上トシユキ氏は「『お詫びを申し上げる』とか、『お粗末』とか、そんなことを言っても、ほとんど意味はないですよね」と手厳しい。
「今回の致命的な欠陥には開いた口が塞がりません。3割の人が正確な情報を受け取れなかったという時点で、全く意味のないアプリだったと言うことです。
それどころか、接触していても『接触していない』という誤情報を流した可能性さえありますから、感染を拡大させかねない有害アプリでしょう」
前出の朝日新聞によると、厚労省は不具合の把握について、《今年に入り「陽性者と接触しているはずなのに通知が来ない」といった指摘が相次ぎ、実際の端末で確認したところ、障害が判明した》と説明したという。
だが、TwitterなどのSNS上では、少なくとも昨年の秋頃から、不具合を訴えたり、プログラムの問題点を指摘したりする投稿は、相当な量にのぼっていた。
井上氏は、「COCOAが問題のあるアプリだということは、IT業界では周知の事実でした」と振り返る。
■COCOA=欠陥住宅
2021年2月8日 17時0分
https://news.livedoor.com/article/detail/19664315/