トルコ、警官9000人を停職に 「ギュレン派」摘発
http://www.bbc.com/japanese/39728673

トルコ警察は26日、警官9000人以上を停職処分にした。米国在住のイスラム指導者フェトゥラ・ギュレン師とつながりがあるからという理由で、国家安全保障のためだと説明している。
スレイマン・ソイル内相は、「『秘密のイマーム(イスラム指導者)』という名で、警察組織に浸透する」ギュレン派ネットワークを対象にしたと述べ、今後も取り締まりを続けると説明した。
タイイップ・エルドアン大統領は、ギュレン師が昨年7月のクーデター未遂の首謀者だと断定しているが、ギュレン師はこれを否定している。
トルコでは同日、ギュレン師支持者の一斉摘発が行われ、関与が疑われる1000人以上が拘束された。トルコでは数カ月にわたり、こうした一斉摘発が相次いでいる。
大規模な「ギュレン派」摘発に欧州各国は警戒を強めており、欧州連合(EU)加盟交渉の停滞につながっている。
ドイツ外務省は「大勢の一斉検挙に懸念と共に留意している」と表明した。
軍関係者による昨年7月15日のクーデター未遂後、兵士、警官、教師、公務員など4万人が逮捕され、12万人が解雇ないしは停職処分を受けた。

エルドアン大統領は16日に、大統領権限拡大の是非を問う国民投票に僅差で勝ったばかり。
批判勢力はこれによってエルドアン氏の権限が独裁に近いところまで拡大するのではと、懸念している。
国民投票の2日後、トルコ議会は9カ月続いてきた非常事態宣言をさらに3カ月延長した。
<解説> エルドアン氏が取り締まり強化――マーク・ローウェン、BBCニュース(イスタンブール)
国民投票で希望通りに勝てば、エルドアン大統領はクーデター未遂後から続けてきた粛清をさらに加速化させると、かねてから予測されていた。
勝利の勢いに乗るエルドアン氏にとって、摘発を強化しても投票結果に影響を与える心配はもうない。

国民投票結果に野党が異議を唱えていようが関係ない。投票をめぐり全国的に不正があったと選挙監視団が痛烈に批判し、野党の主張を支えても関係ない。大統領は、結果は確定したと宣言している。
このため26日には、警察がまずは拘束の対象になった。しかし今後はほかの機関も同様の目に遭うのだろう。
エルドアン氏とギュレン師はかつて、確固たる盟友同士だった。その当時の与党公正発展党(AKP)には、ギュレン師支持者が実に大勢いた。
AKP内のギュレン師支持者はこれまで粛清の対象になってこなかったが、今後はその可能性がある。そして粛清されなかったとしても、エルドアン氏の政敵は常にその危険にさらされることになる。
「ダモクレスの剣」のように。「批判すれば、ギュレンとの関係が露見するぞ」と言わんばかりに。