3月24日 9時40分
去年、ネットで話題となったニョロニョロとした謎の物体、覚えていますか?小笠原諸島の世界自然遺産の森の奥深くで、木の幹から伸び出している写真がSNSで拡散しました。このニョロニョロの正体。研究グループの調査で明らかになりつつあります。一方、依然として謎も残っています。その後を追跡しました。
(ネットワーク報道部 記者 管野彰彦)
キノコ?寄生虫?
このニョロニョロが見つかったのは去年5月。世界自然遺産に登録されている東京都の小笠原諸島の母島で、固有種の植物、「コヤブニッケイ」の幹から、鹿の角のようなものが突き出ているのを島のレンジャー(自然保護指導員)が発見、SNSに投稿しました。
ネットでは「謎の物体」として話題になり、「キノコ?」「寄生虫?」、はたまた「宇宙植物?」などと、さまざまな臆測やおもしろがる声が飛び交いました。
極めて高い確率で
あれから約10か月。その正体はどこまでわかったのか。
調査を行ったのは、法政大学生命化学部応用植物科学科・植物医科学センターの廣岡裕吏専任講師らの研究グループです。
ヒントは母島から北に約700キロ離れた同じ東京都の八丈島にありました。八丈島では1980年代に、今回のニョロニョロと似た病気が確認されていたのです。
その名前は「ヤブニッケイもち病」。母島の「コヤブニッケイ」と同じクスノキ科の「ヤブニッケイ」の幹や枝から、角状の突起物が生えていたのです。
この突起物は菌類に感染したことで、植物の一部が変形したもので、世界でも八丈島でしか見られないものでした。
研究グループは、今回見つかった突起物と八丈島の突起物について、形状のほか、遺伝子の配列を詳しく調べて比較しました。
今回のものは、採取したサンプルの状態がよくなかったため、完全な解析はできませんでしたが、それでも両者が極めて高い確率で同じものと見られることがわかったということです。
今回、母島で見つかったのは、八丈島の「ヤブニッケイもち病」と同じく、菌類に感染してできた突起物である可能性が高まったのです。
世界で2例目か
このように植物に菌類が感染してこぶのようなものができる病気は、広く「もち病」と呼ばれています。これ自体は、ツツジなどさまざまな植物に見られる一般的な病気で、名前のごとく、お餅のようにぷっくりと丸くなるのが特徴です。
しかし、今回、母島で見つかったものは全く違い、角のような形状。八丈島に次ぐ世界で2例目となります。
残る大きな謎は…
しかし、まだ大きな謎が残されています。
2つが同じだとしたら、小笠原で見つかったものは、はたして700キロ離れた八丈島からやってきたものなのか、という点です。
(リンク先に続きあり)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180324/K10011376891_1803232254_1803240058_01_02.jpg