井の頭池では、2017年の公園開園100周年に合わせ、水質改善と外来種の駆除を目的として13、15、17年度にかいぼりが実施された。昨年以降は池周辺の環境がどう変化したのか、トンボなどの生態調査も行われている。
トンボの調査は5〜9月に月1回ずつ実施。都西部公園緑地事務所や生態工房、市民ボランティア「かいぼり隊」などの約10人が、2時間ほどかけて池の周りを歩きながらトンボの数や種類などを調べていく。
今年(5〜7月)の調査では、確認された個体数は236匹となり、昨年同期(192匹)と比べて1・2倍に増加。種類数も昨年(5〜9月)の調査で確認されたのは17種類だったが、今年は7月までで既に19種類に上っている。
今月2日、佐藤さんが調査とは別に井の頭池の周囲を歩いたところ、尾の先端部がうちわ状に広がっているウチワヤンマ、胸部や腹部に白粉おしろいをまとったようなコフキトンボが飛んでいるのを確認した。
佐藤さんは「どちらの種も、植生が豊かな場所で見られるトンボ」とし、「かいぼりによって外来魚が駆除されてヤゴの天敵が減り、ヤゴを含む水生昆虫が生育しやすくなったと考えられる」と説明する。池では水草が増えており、トンボが卵を産み付けたり、ヤゴが隠れたりする場所が増え、赤虫(ユスリカの幼虫)や小魚などヤゴの餌も豊富になったとみられる。
池周辺では今月末頃までトンボが飛んでいるといい、佐藤さんは「水面から出ている杭くいや水草の先端などにじっと止まっているので、ぜひ観察してみて」と話している。
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読売新聞
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