《編訳者解説》

(中略)

ウィルバーフォースの運動には、西インド諸島の富裕な商人たちから、
英国ならびにその植民地に
経済的な打撃を与えるものであるとの反対が唱えられた。

また、リヴァプールの商人たちは、
地域の経済に重要な役割を果たしている奴隷貿易を
廃止しないようにとの請願書を国会に提出した。

このような状況下で、1789年、
ウィルバーフォースは枢密院の調査報告なども引用し、
下院で奴隷貿易反対を訴える三時間半に及ぶ演説を行った。

こうして、1792年には
下院が奴隷貿易の暫定的廃止を可決したが、
上院では否決された。

(中略)

いずれにせよ、反対派の巻き返しなど紆余曲折はあったものの、
最終的には1807年、きしくも、ニュートンが亡くなる年に、
英国国会の正式の手続きによって奴隷貿易廃止の法律が成立した。

(「アメージング・グレース物語」ゴスペルに秘められた元奴隷貿易商人の自伝
ジョン・ニュートン[著] 中澤幸夫[編訳] p.228-229より引用 )  
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