米ユナイテッド航空に無理やり降機させられたベトナム系米国人の男性乗客が、ベトナム戦争中の経験より「恐ろしかった」と話していることが明らかになった。
家族と弁護士が13日、シカゴで記者会見した。
被害に遭ったケンタッキー州在住のデイビッド・ダオ医師(69)の弁護士によると、ダオ医師は前歯2本を失ったほか、鼻を骨折し、
「かなりの」脳震盪(のうしんとう)を起こした。ユナイテッド航空を訴える方針だという。

トマス・デメトリオ弁護士は会見で、「(ダオ医師は)1975年のサイゴン陥落でベトナムを離れ、ボートで脱出して、恐ろしい思いをしたと話している。
しかし、通路を引きずられたのは、ベトナムを出る時の経験よりも恐ろしく衝撃的だったそうだ」と明らかにした。

医師の娘のクリスタル・ダオ・ペッパーさんは、「私のお父さんに起きたことは、どんな状況であれ、どんな人間にも起きてはならない。
父がどんな目に遭ったのか知り、そしてその様子を目の当たりにして、私たちは恐ろしくて、ショックで、気分が悪くなるほどだった」と話した。

ダオ医師の弁護人は12日、証拠保全の申し立てをイリノイ州の地裁に起こした。ユナイテッド航空とシカゴ市に、
問題のあった3411便に関連するすべての防犯ビデオや操縦室の録音音声、乗客や乗務員名簿などの保全を命令するよう求めている。
17日に口頭弁論が行われる予定。

シカゴ市内の病院に入院していたダオ医師は、12日夜に退院したものの、骨折した鼻などの形成手術を受ける予定という。

デメトリオ弁護士たちは、ダオ医師の家族も自分たちもまだユナイテッド航空から何の連絡も受けていないと話した。

ユナイテッド航空は、3411便の乗客に連絡をとっていると発表。オスカー・ムニョス最高経営責任者(CEO)が「ダオ医師にたびたび電話し、
私たちの心からの深い謝罪の気持ちを伝えている」と説明している。

また乗客全員の航空券代を払い戻す方針を示している。

配信 2017.04.14

BBC Japan
http://www.bbc.com/japanese/39597590