北朝鮮の問題の核心は、独裁制とというシステムとそれを担う独裁者の
恐怖心と孤立にある。米国をはじめ、北朝鮮と向き合う国々は、ここを
見誤ってはならない。

すべては、一人の肩に権力が集中する独裁制のいびつさと、そこに据えら
れた孤独な人間の恐怖心ゆえの虚勢と暴走がこの問題の本質だ。

身近な人間に裏切られることの尽きることのない猜疑心、絶えず周囲を
窺い目を光らせておかなくてはならない権力闘争、裏切り、いったん粛清
すれば、身内共々根こそぎにせねば安心できない狂気、こうした歪んだ
独裁制のシステムに人間が翻弄され、罪を深め、出口のない蟻地獄のような
悪循環に見舞われる。

米国には、キリスト教という安定した精神性を保つ文化、合理的に政治的
解決を実現する民主主義のシステムがある。独裁者として自らおののく
迷える魂を、導くだけの度量と実力を備えているならば、ぜひ、恐怖心
だけに訴えるのではなく、独裁者に人間として、贖罪を通して生きていく
亡命への道も用意していてほしい。結果的に、犠牲者のない、あるいは
最小の犠牲で済む平和的解決へとつながってゆくと思う。

こうした取引は、秘密裏になさねば、国内での権力闘争で身内同士の殺戮
へと発展するかもしれない。あくまでも、秘密裏にチャンスを与えなくては、
同意することは不可能だろう。米国軍事戦略の叡智を総動員して、平和的
政権移譲を成功させてほしい。