日本郵政の株価が午後に急落。一時前日比5.3%安と2016年11月以来の日中下落幅となった。
国際物流事業の海外子会社で数千億円規模の減損処理を検討していると一部で伝えられた。
市場では同事業の低迷はすでに知られており、株価への影響は一時的との見方が出ている。

日経ビジネス電子版は20日、日本郵政が15年に6200億円で買収した豪物流会社トール・ホールディングスの
減損処理を検討しており、損失は数千億円規模となる見込みと報じた。
日本郵政広報担当の白土順一氏は同報道について、「当社が発表した事実ではない」と述べた。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の笹島勝人シニアアナリストは20日付リポートで、
報道が事実ならネガティブな印象であり、「決算だけでなく配当への不透明感が残る」と指摘。
ただ、トール社の業績低迷は市場では既知だとし、「記事が事実としても影響は一時的な可能性がある」
とみている。

日本郵政は郵便・物流事業を担う日本郵便の全株式を保有している。
16年第3四半期(4ー12月)の国際物流事業は、営業収益が前年同期比4億6400万豪ドル(約1027億円)
減少した。
資源関連分野の景気回復の遅れなどから国際海上・航空輸送需要の低迷の影響を受けた。トール社は豪州以外にもアジア各国で物流網を持つ。

日本郵政株は急落した後に買い戻され、20日終値は前日比2.7%安の1313円。