福山市神辺町上御領の大東地区で、前方後円墳や特殊な弥生土器が相次いで確認された。
前方後円墳は市内5例目で、3番目の大きさ。

周囲に複数の遺跡が存在する可能性が高まっており、発見した市民グループ・自転車と遺跡を楽しむ会は
「活動の成果が出てうれしい。これをきっかけに専門家による本格的な発掘につながれば」と期待している。

前方後円墳は、全長48メートル程度で、後円部は直径27メートル程度とみられる。
井原市との境の山の尾根筋(標高約190メートル)に位置し、
後円部には「大仙神社」がある。約30年前に近くで墓地を造成した際には、箱式石棺が見つかったという。

同会は2012年に発足。市民や高校生、大学生などメンバー約20人が地域の遺跡を独自に調査し、
訪れる人へのボランティアガイドなどの活動に取り組んでいる。
今回見つかった場所は以前、調査を行った際に古墳らしき地形を見つけ、今年2月から所有者の許可を得て測量などを行ってきた。

19日には、市教委文化財課の職員と市文化財保護審議会の佐藤昭嗣会長が現地を訪問。
地形などを確認し「前方後円墳に間違いない」と結論づけた。今後、県教委に報告し遺跡として登録される。

市内にある前方後円墳は二子塚古墳(駅家町)、石鎚権現第5号古墳(同)、尾ノ上古墳(加茂町)、
足長第1号古墳(神辺町)の4基が確実なものとされており、今回が5例目。
二子塚古墳(全長73メートル)、尾ノ上古墳(同推定60メートル)に続く大きさとなる。

佐藤会長は「造られた時代はきちんと調べないと分からないが、くびれの形などから古いタイプのものではないか」と推測する。
弥生土器は、楽しむ会の佐藤武志会長(44)=福山市=が2月21日、
今回見つかった前方後円墳から南へ約1・4メートル離れた自宅裏山の斜面で草刈りをしていて見つけたという。

縦約20センチ、横約15センチの土器片など計37点。
多くは表面にベンガラで赤く装飾されており、同課によると弥生時代後期のつぼの一部とみられる。
近くにある県内最大級の集落遺跡「御領遺跡」からも、井戸の底から同様の土器片が出土している。

同課は「祭祀(さいし)などで使われた特別なものだろう。面白い発見で、周囲にまだ知られていない遺跡がある可能性が高い」としている。
楽しむ会は今後、測量図と土器片を市教委に提出。同課が調査や研究に役立てるという。
佐藤会長は「一帯には古墳のような地形がまだ複数あり調べている。今回の発見は今後の活動の励みになる」と話している。

http://www.sanyonews.jp/article/520208/1/

前方後円墳と弥生土器の発見場所
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新たに発見された前方後円墳の地形などを確認する福山市教委文化財課の職員ら=神辺町上御領
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佐藤会長が見つけた赤く装飾された弥生土器の一部
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