大阪府豊中市の元国有地で小学校開校を目指していた学校法人「森友学園」(大阪市)は21日、大阪地裁に民事再生法の適用を申請した。校舎を建設した請負業者に多額の負債があり、自主再建が難しいと判断したとみられる。
 
学校建設を請け負った藤原工業(大阪府吹田市)によると、工事費は総額20億円を上回る見込みだが、これまで学園の支払いは約4億6千万円にとどまっており、同社は滞納代金の支払いを求めて大阪地裁に提訴。これに先立ち、大阪地裁は学園が運営する幼稚園の土地・建物など複数の所有不動産について、同社の仮差し押さえを認める決定を出していた。

 学園は校舎建築にあたって国から受け取った補助金約5600万円をすでに返還しているが、大阪府や市から補助金を過大に受給していた疑惑が浮上、一部の支給が停止されている。運営する幼稚園の園児数も減少していた。

 学園は26年10月、府に小学校設置認可を申請。府の審議会から27年1月に条件付きで「認可適当」と答申され、国有地の借地契約を結んで校舎の建設工事に着手した。28年6月には鑑定価格9億5600万円から地中のごみ撤去費用などが差し引かれた1億3400万円で国有地を購入した。

 民事再生法による再建では、地裁が再生手続きの開始を決定した後、債権者から再生計画について同意を得られれば、現理事らが必ずしも退陣する必要はなく、引き続き幼稚園の経営に携わることができる。

【民事再生法】

 経営危機に陥った企業や法人の倒産処理を迅速化し、再建を容易にするための手続きを定めた法律。破産や特別清算のような「清算型」の破綻処理と異なり、「再建型」の枠組みに属する。裁判所が選任する管財人に経営権や財産管理権が移る会社更生法と違い、経営陣はそのまま残って事業を継続しながら再建計画をつくることもできる。

http://www.sankei.com/west/news/170421/wst1704210038-s1.html