科学者らが「時間」に関する驚愕の理論を導き出した。なんと、あるとき時間が尽き、完全に静止してしまうというのだ! 想像を絶する恐ろしい事態だが、その時、我々は一体どうなってしまうのだろうか?

■宇宙の時間が遅くなっている

英紙「Express」(4月22日付)などによると、スペイン・バスク大学のホセ・セノヴィーリャ教授とサラマンカ大学のマルク・マルス教授が、物質の最小単位が“細いひも”だとする「超ひも理論」をベースに同理論を導き出したという。

研究のきっかけとなったのは、「宇宙の加速膨張」に対する疑問だったそうだ。「宇宙の加速膨張」は、1998年に遠方の超新星爆発の観測により発見されて以来、2011年には発見者である3名の物理学者にノーベル物理学賞が送られるなど、物理学者のみならず素人にも半ば“常識”と化している理論である。

とはいえ、以前トカナでもお伝えしたように、宇宙の加速膨張には常識に反するおかしなところがある。というのも、本来であれば重力によって膨張は減速すべきとされているからだ。そこで、これまで物理学者は、負の圧力(斥力)を持つ仮想の「ダークエネルギー」を導入し問題解決をはかってきた。

だが、セノビーリャ教授らによると、そもそも宇宙は加速度的に膨張していないため、ダークエネルギーも必要ないというのだ。一体どういうことだろうか?

彼らの提案はこうだ。加速しているように見えるのは、実は時間そのものが減速しているためであり、今よりも時間経過が速かった過去の超新星爆発を観測したために起こった見かけ上の現象に過ぎないということだ。

宇宙が加速膨張していないとすれば、ダークエネルギーも不要になる。先日トカナでも報じたように、ハンガリーにあるエトヴェシュ・ロラーンド大学の研究者らも「ダークエネルギーを考慮することなく宇宙の膨張は可能」との結論に達していた。

「“標準的な時間の流れ”から膨張の変化を方程式で導くと、“膨張の加速”が起きているようにみえることが、シンプルなモデルで分かりました」(セノビーリャ教授)

しかし、実際には“標準的な時間の流れ”は存在せず、時間は減速していると教授らは見ているため、この数式は誤りであるということだ。

■時間が完全に静止した時、何が起こるのか?

恐ろしいことに数十億年後に時間が完全に静止したら、写真のスナップショットのように全てが凍りつくという。そして、時間が再び動きだすことは永遠にないそうだ。

しかし、今回の理論では時間の次元が1つであると仮定しているが、南カリフォルニア大学のItzhak Bars教授は時間には2つの次元があると主張しているため、まだ不完全な理論であるとセノビーリャ教授は認めている。

とはいえ、それだけで今回の研究の価値が損なわれるわけではない。ケンブリッジ大学のゲイリー・ギボンズ教授も「もし時間が出現したのだとすれば、消滅することもあるでしょう。つまり逆の効果がありうるということです」と好意的な反応を見せている。

ギボンズ教授の言葉は、時間だけでなく宇宙の存在そのものについても当てはまるだろう。イギリスの哲学者デイヴィッド・ヒュームが喝破したように、太陽が明日も東から昇り西へ沈むとは限らない。我々には安定しているように見える宇宙も、サイコロを振ったら、たまたま6の目が連続して出てしまったようなもので、大きなスケールでみれば単なる偶然でしかないのかもしれない。
(編集部)

http://tocana.jp/2017/04/post_13016_entry.html