環境省が今春、人工繁殖させたヘイケボタルの幼虫約3000匹を、皇居に隣接する北の丸公園(東京都千代田区)の池に放流した。

 繁殖開始から3年がかりの取り組みで、順調にいけば今月中には成虫となり、発光が確認されるという。同省は「ホタルの光で皇居一帯の生態系をより豊かにしたい」としている。

 同省によると、皇居周辺では昔からホタルが確認されており、明治時代には、発光を観賞する「蛍狩り」を楽しむ人々でお濠ほりがにぎわったとする文献が残っているという。2005年からは、繁殖期の5月上旬から6月下旬頃に、ヘイケボタルの光を頼りに同省が個体数を目視で確認する作業を行ってきた。

 その結果、生息域は北の丸公園に隣接する牛ヶ淵と、皇居外苑に接する桔梗ききょう門付近のお濠(桔梗濠、蛤はまぐり濠)と限定されたエリアであることを確認。さらに、07年に753匹確認された牛ヶ淵では、13年以降は10匹以下の状態が続き、15年に52匹だった桔梗門付近も昨年は30匹にまで減少したこともわかった。減少の理由は不明で、同省皇居外苑管理事務所の広瀬勇二次長は「今後、急激な環境変化が起これば、生息する個体群が一気に絶滅する可能性もある」と危惧していた。

2017/5/4 12:02 読売新聞
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