ノルウェー政府は8日、トナカイの脳を破壊する疾患を根絶するための措置として、
野生のトナカイ約2000頭の群れの殺処分を許可した。
同国内では、欧州で初となるこの疾患の感染例がこれまでに数件検出されていた。

牛海綿状脳症(狂牛病、BSE)に類似したこの慢性消耗性疾患(CWD)は、
北米にすでに存在しており、シカの脳をスポンジ状に変性させ、体重減少や死を引き起こす。
CWDはシカやトナカイの間で伝染するが、動物から人間への感染は確認されていない。

2016年に欧州で初めてノルウェーで検出されたCWDは、
トナカイが単一の群れの中で感染した事例3件と、他にヘラジカの感染例2件が確認されている。
後者については、ヘラジカが群れで生活しないため、懸念はより小さいと考えられている。

動物の健康問題を監視するノルウェー食品安全局(Norwegian Food Safety Authority)は、
CWDの拡散を防ぐため、感染した群れの殺処分の必要性を訴えた。
この群れは、南西部のノールフィエラ(Nordfjella)山岳地帯に生息する野生のトナカイ2000〜2200頭で構成される。

ノルウェー農業・食料省は食品安全局に送付した書簡の中で、
「われわれが現在持っている知識と、専門家らの全員一致の勧告に基づき」、群れの殺処分を許可した。

農業・食料省によると、ノルウェーのトナカイ総個体数の約6%に当たるこの群れは、
2018年5月1日までに全頭が殺処分されるという。
食品安全局は、6月15日までに実行計画を提示する必要がある。

現在のところ、大量殺処分のためにトナカイを寄せ集めることや、
同地域での狩猟を拡大することなどの可能性が検討されている。

http://www.afpbb.com/articles/-/3127583

ノルウェーの海岸線を歩くトナカイの群れ(2009年11月11日撮影、資料写真)。
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