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【5月12日 AFP】軽量のロボット「外骨格」を開発したとの研究結果が11日、発表された。装着者がバランスを崩したのを検出して、足の運びを修正し、転倒を防止できるという。

 高齢者のつまずきを抑止することを目的とした「能動的骨盤装具(APO)」と命名されたこの最新機器は、膝が崩れたり脚の動きが乱れたりし始めるのをリアルタイムで識別できるセンサーと、バランスを回復させるための力を両脚に瞬間的に加える軽量のモーターを備えている。

 APOを製作した伊サンターナ大学院大学(Scuola Sant'Anna)とスイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)の研究チームは、声明で「装着者の動きと持久力を強化するウェアラブル機器は、もはやSFの領域に属するものではない」としている。

 世界保健機関(WHO)によると、転倒は、不慮の外傷による世界の死因の第2位に挙げられるという。毎年42万人あまりが転倒が原因で死亡しており、その大半が65歳以上の高齢者だ。

 WHOによると、治療を必要とする転倒事故が年間4000万回近く報告されており、人口の高齢化が進むにつれてこの数字が急増する可能性が高いという。

 APOは障害者や下肢切断患者の助けになる可能性もあると、研究チームは指摘している。「これは、人々の日常的な活動の助けとなる技術だ」と、研究チームは続けた。

 研究チームは、APOの実験結果をまとめた研究論文を英科学誌ネイチャー(Nature)系のオンライン科学誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」に発表した。

 下半身に装着する総重量約5キロのAPOは、バランスの崩れが検出された時にのみ「アシストモード」が作動する。

 論文執筆者の一人、ペッピノ・トロペア(Peppino Tropea)氏は、AFPの取材に「このロボット外骨格は、予期しない足の滑りを特定して、その影響を弱めることができる」と語った。

 APOは「脚の動きに対する股関節の剛性を増加させる。実際には、滑っている脚の動きを減速させるのと同時に、もう一方の脚を地面に向けて押し出す。この方策はバランス回復のために有効だ」 (c)AFP

2017/05/12 10:56(パリ/フランス)

支援装具をつけてリハビリを行う半身がまひした患者(2010年3月8日撮影、資料写真)。(c)AFP/Yoshikazu TSUNO
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