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・電車内の痴漢被害が後を絶たない。「痴漢冤罪の恐怖―『疑わしきは有罪』なのか?」などの著書が
 ある裁判官出身の弁護士、井上薫さんに聞いた。

―最近、男性に、そのような「痴漢冤罪」に対する危機感が広がっているような気もします。電車の
 中で「痴漢です!!」と言われた場合、どうしたらいいのでしょうか。
井上 それが、「こうしたらいい」という方法があるのであれば、全然怖くないんですよ(苦笑)。
 決め手がないからこそ、大問題になっているんです。決め手がないのに、有罪のベルトコンベヤーに
 乗せられてしまう。怖いですよ。あえて言うとすれば、女性側に「これ以上言うと、逆に名誉棄損で
 訴えるぞ!」と反論する、というぐらいでしょうか。

―「逃げちゃえばいい」という人もいますね。これは有効なんですか?
井上 一面においては、有効かもしれません。しかし、取り巻きの野次馬の男性などに捕まえられて
 しまうでしょうね。無理に逃げようとすると、物理的にぶつかったりして、暴力事件になってしまう
 可能性もあります。逃げられればいいんですけど、途中で捕まったりすると、「逃げた」ということで、
 余計に犯人扱いされてしまいます。
 なので、「逃げる」というのはお勧めできる方法ではありません。
 「会社に行かないといけないので、この場での足止めは困る」と名刺を渡して、追いかけられないように
 してその場を立ち去る、という手もあります。要するに、その場で逮捕されなければいいんです。
 後でテーブルを挟んで「やった、やらない」と争うことになったとしても、逮捕されることにはならない。
 でも、現場で連行される、という状態だと、対等な話し合いができる環境ではありません。

―「ちゃんと話せば分かってもらえる」と思っている人も多いですね。仮に事情を説明しようとして
 駅の事務室に行った場合、どうなりますか。
井上 事務室には駅員がいますから、駅員に「そこで待て」と言われて、警察官を呼ばれます。
 事務室では、相手の女性とは別の部屋に入れられて、話し合いなんて出来ないですし、警察に
 行っても状況は同じです。

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