普通免許の教習車には一般的にセダンタイプのクルマが使われていますが、何か理由があるのでしょうか。セダン以外の教習車を導入している教習所もあるようです。

■車種減少のセダン それでも教習車に使うワケ

日本では、セダンの車種が少なくなっているようです。あるトヨタ系のディーラーでは「昔と比べ、いわゆるコンパクトセダンの車種が減ったこともあり、現在の販売割合としては全体の1割ほど」と話します。

そもそもセダンは一般的に、ボンネット、車室、トランクがそれぞれ独立した、いわゆる3ボックス型の乗用車を指します。関東地方で営業している別の自動車販売店は、「セダンは好みはっきり分かれます。
高級車を中心に、売れているものは売れていますが、一般的なクラスでは、ファミリー層はやはりミニバンやワンボックスのような機能性を重視したクルマを選ぶ傾向があります。
そのためセダンの車種が減り、販売台数も伸びない状況です」と話します。

セダンの教習車のイメージ
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 一方、普通免許の教習車では、自動車メーカー各社の様々なタイプのクルマが教習車として採用されるなか、セダンタイプをよく目にします。そこに理由はあるのでしょうか。
普通免許の教習車にマツダ「アクセラ」のセダンを採用している、東京都葛飾区の平和橋自動車教習所に聞きました。

――教習車の形には、何かしら決まりがあるのでしょうか?

 道路交通法で、技能試験に用いるクルマの全長や車幅などが定められていますが、それに合致すれば、セダンであってもワンボックスであっても、教習車の形に決まりはありません。

――平和橋自動車教習所ではセダン以外の教習車もありますか?

 一時期、ほかの教習所との差別化を図るため、SUVを教習車として4台ほど導入していましたが、車体が大きいうえ前方が見づらいなど、従来のセダンと比べて運転感覚が異なったこともあり、廃止してしまいました。

――セダンを教習車にする理由として、どのような点が挙げられるでしょうか?

 当校で導入していたSUVなどと比べると、セダンのほうが視界が低く、足回りの安定感があると思います。また、
セダン以外だとマニュアル(MT)車の設定があるものが少なく、MT車で教習する人もオートマチック(AT)車に乗る教習項目があることを考えると、同じ車種で統一したほうがよいでしょう。

※ ※ ※

平和橋自動車教習所は、所内で技能試験までを行う指定教習所ですが、あくまで「一般的に」としたうえで、「セダンの教習車が多いのは、運転免許試験場の試験車両に合わせているという点も大きいのではないかと思います」といいます。

■試験車両にセダン、採用のカギは「ボンネット」?

 では、運転免許試験場における普通免許の試験車両は、なぜセダンなのでしょうか。埼玉県警運転免許課に話を聞きました。

――試験車両がセダンなのはなぜでしょうか?

 セダンでなければならない決まりは特にはありませんが、ボンネットのあるクルマが望ましいです。車両の前方感覚、つまりボンネットの先端の感覚を養うことができ、それがひいては事故防止につながると思います。
ですから、ボンネットのないワゴン車などは、試験車両として運転感覚をチェックするには不向きです。

――セダン以外の車種が試験車両になる可能性もあるのでしょうか?

 ええ。仮に、試験車両購入時の入札においてメーカーからセダン以外の車両で提案があり、その車両が車体感覚などをつかみやすいと認められれば、導入される可能性はあります。※続く

配信 2017.05.20

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