小高に子どもたちの元気な声が帰ってきた―。

今年4月、南相馬市小高区で学校生活を再開した小高、福浦、金房、鳩原の4小学校は20日、7年ぶりに地元小高小で運動会を開いた。
震災前と異なり、一面に人工芝が敷かれた校庭では、相馬野馬追の里として恒例種目だった「神旗争奪戦」も復活。
学校周辺には児童の歓声がこだまし、見守った多くの住民も懸命に駆け回る児童の姿に、地元復興への期待を膨らませた。

朝から澄み切った青空が広がった中、4校の1〜6年生約60人が19種目を繰り広げた。
保護者や卒業生、地元の高齢者らが参加する種目もある中、メインは震災後初めて復活した「神旗争奪戦」。
地元の小高郷騎馬会のメンバーによる勇ましいほら貝の合図とともに、紅白に分かれて騎馬を組んだ3〜6年の児童は、
青空に次々と打ち上げられる約100発の落下傘花火を取ろうと、校庭を走り回った。

原発事故に伴い、昨年までは全校避難先の同市鹿島区で合同運動会を開いた。
昨年7月に帰還困難区域を除き小高区の避難指示が解除されたことを受け、4校は今年4月から地元で学校生活を再開させたが、
4校の全児童62人のうち同区に戻った世帯は約3分の1にとどまり、大半は同市の原町区や鹿島区で避難生活を続けている。

こうした中、7年ぶりの地元での運動会を喜ぶ思いは、児童、教職員、保護者、地元住民も同じ。
20日早朝の会場設営には教職員のほか、保護者、住民ら約30人も駆け付け、万全の状態で晴れの舞台を整えた。

鹿島区の仮設住宅に暮らす4小代表PTA会長の堀内洋伯(ひろのり)さん(40)は6年の長女陽菜(ひな)さん(12)、
2年の長男陽斗(あきと)君(7)に声援を送った。
洋伯さんは「娘の小学校最後の運動会を地元・小高で開催できてうれしい」と笑顔。
昨年、家族と小高区に戻った6年の茂木大芽君(11)は「人工芝の広い校庭で、本当に楽しかった」と喜んだ。

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