金塊取引「闇ルート」浮かぶ 香港⇒大量買い付け 韓国⇒運び役に渡す 福岡⇒売買の拠点に
西日本新聞?5/24(水) 17:29配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170524-00010006-nishinpc-soci

「金の買い付けツアー」企画する会社も
 福岡空港から現金約7億3500万円を無申告で香港に持ち出そうとしていた韓国人の男4人も、金塊密輸に関与していた疑いが強まった。相次ぐ金塊事件により、福岡を拠点に香港、韓国・仁川を結ぶ密輸金塊の国際ルートが浮上している。

 韓国人4人は7億3500万円を持ち出し、香港の空港に向かうところだった。密輸した金塊を福岡で売りさばき、その現金を香港で金塊を買い付ける資金に充てる計画だった可能性もある。

 香港は金の輸出の規制がほとんどなく、世界中の金が集まる「世界有数の取引場」(関係者)。消費税もかからないため、多くのバイヤーが買い付けに訪れるという。一般の日本人向けに「金の買い付けツアー」を企画する会社もあるほどだ。
出国手続きを済ませた別の運び役と落ち合い、金塊を渡す
 関係者によると、その香港から韓国に金を運ぶ際は申告の必要がなく、密輸目的で、仁川空港に金塊を運ぶ手口が多いという。

 韓国・仁川空港では、到着した国際線のトランジットエリアで、出国手続きを済ませた別の運び役と落ち合い、金塊を渡すケースが多い。韓国から金塊を国外に持ち出す場合は申告が必要だが、こうすれば韓国当局のチェックを免れることができる。

 運び役は金塊を福岡空港に持ち込むが、「韓国出国時に金を持っていなければ、韓国側から日本の税関へ注意情報が寄せられないため、入国審査が緩くなる」(関係者)という。
密輸ルートの行き来を繰り返すことで収益
 金塊約3キロを密輸しようとしたとして関税法違反罪などに問われ、23日に福岡地裁で初公判があった大阪市交通局職員の男も「運び屋」だったとみられる。男は仁川空港で金の延べ板を受け取り、隠して福岡空港で入国しようとしていた。男は被告人質問で「報酬は1回14万円だった」と説明。他に4、5人の運搬役がいたという。

 金塊を日本国内に持ち込む際は、税関で8%の納付が必要となる。密輸した金塊であれば、国内で売り、消費税の8%分をもうけることができる。そして、再び香港で買い付けに−。県警は、3カ所の密輸ルートの行き来を繰り返すことで収益を上げる犯罪グループが複数あるとみて、捜査を進めている。