日立製作所は24日、痛みを伴わずに乳がんを検診できる技術を開発したと発表した。水を満たした検査容器に乳房を入れて超音波を360度の方向から照射、音波の速度などから腫瘍の有無や特性を判別できる。測定時間は1分ほどで済み、精度も高いという。4月から北海道大学病院と共同研究を始めており、2020年ごろの実用化を目指す。

 開発した技術では、受診者はベッドにうつぶせになり、穴が開いた部分から乳房を水に満たした容器に入れて検査を受ける。乳房を囲むようにリング状の装置が上下し、3次元でスキャンする。腫瘍の堅さなどをとらえることで、良性か悪性かを総合的に診断する。

 乳がんは女性に最も多いがんで、治療は早期発見がカギとなる。現在の検診は乳房を押しつぶしてレントゲン撮影するマンモグラフィー(乳房エックス線撮影検査)が主流だが、痛みを伴うほか、放射線被曝(ひばく)の問題があった。超音波検診では1方向から照射するため、検査する人の技量によって精度が違っていた。

2017/5/24 20:45
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ24I0Y_U7A520C1TJ1000/