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集客のためにトイレを工夫

量販店やコンビニエンスストアが、店舗のトイレを工夫している。性的少数者(LGBT)や
車いす利用者を含めて、「誰もが使いやすいトイレ」を整えることで来店者の増加を図っている。
トイレという店舗に不可欠なインフラを充実させることで、「ついでに買う」「トイレを借りたお礼」
といった消費が見込めるメリットもあるようだ。

ドン・キホーテ(東京都目黒区)は、12日に東京都渋谷区で開いた旗艦店
「MEGA(メガ)ドン・キホーテ渋谷本店」に、「オールジェンダー」トイレを3室設けた。
性別に関係なく使うことができる。

MEGAドン・キホーテ渋谷本店の池上維彦店長は、オールジェンダートイレを設置した理由を
「男性だが女性トイレを使いたい、しかし、周りから白い目で見られるといった声を聞いていた」
と説明する。

渋谷区が2015年に日本で初めて、同性同士のパートナーシップを公的に認める条例を
施行するなど、LGBTを念頭に置いた施策を進めている点も意識した。オールジェンダーの
トイレのほか、車いす利用者らが使いやすい多目的トイレも設けている。

ファミリーマートは19日、多目的トイレの設置店舗をホームページを使って検索できるようにした。
車いすの利用者から「外出先でトイレを探すのが難しい。コンビニの設置状況が把握できれば、
行動範囲が広がる」と意見が寄せられたことがきっかけとなった。

各店舗のトイレの広さや店舗の通路幅、段差を測ってデータベースにし、検索機能に生かした。
設置店舗の店頭に順次、ステッカーを貼り付ける。

同社は13年から、小規模店舗を除いて多目的トイレを標準仕様にしている。現在はファミリーマートと
グループのサークルK、サンクスの計3800店舗に設置している。ベビーカーや、高齢者の歩行を
補助するシルバーカーのユーザーにとっても利便性が高い。

ドン・キホーテやファミマがトイレに力を入れる理由は、多様性の尊重や社会貢献だけではない。
トイレに足を向けてもらうことが、買い物をする動機付けにもつながるとの思いがある。
20年の東京五輪・パラリンピックも視野に入れ、トイレに着目した店作りが進みそうだ。