福岡市で昨年7月、警察官を装った男らに約7億5000万円相当の金塊が盗まれた事件で、福岡、愛知両県警に主犯格として逮捕された野口和樹容疑者(42)は、少年時代から犯罪を繰り返してきた根っからのワルだった。数度にわたる服役後も名古屋市を拠点に活動する半グレ集団のリーダー格となり、指定暴力団山口組の直系組織を後ろ盾に悪事と豪遊を繰り返していたという。

 海上のクルーザーやパーティー会場で、仲間たちとポーズを決める入れ墨の男。野口容疑者のものとみられるフェイスブックに公開されている画像はその豪遊ぶりをうかがわせている。

 捜査関係者によると、野口容疑者は名古屋市を拠点にする半グレ集団のリーダー格。山口組の直系組織で、篠田建市6代目組長の出身母体である弘道会に出入りしていたこともあり、昨年7月の事件以降は東京都内などで高級外車を乗り回し、豪遊する姿が目撃されていたという。

 「根っからのワルで、少年時代から事件を起こし、少年刑務所に服役していた。職業訓練所でもリーダー的な存在になり、他の服役囚に声をかけて仲間を増やしていた。制約を受けて動きづらくなるので、組には入らずに後ろ盾にして利用していた。言うことを何でも聞く仲間が数十人はいるのではないか」(暴力団関係者)

 出所後には今回の事件で指名手配されている実兄の直樹容疑者(43)ら6人と名古屋を拠点に高級自動車窃盗団を結成。盗んだ車を暴力団関係者や麻薬密売のイラン人らに売りさばいていた。

 「高級車を解錠する特殊な技術を使い、車両窃盗や車上荒らしで荒稼ぎしていた。23歳だった1997年には愛知県警などに逮捕されたが、取り調べ中に県警守山署で、差し入れを装った妻が捜査員に催涙スプレーを噴射し、夫婦で脱走する騒ぎも起こし、愛知県警に大恥をかかせていた」(捜査関係者)

 懲役5年の判決を受けて服役後の2005年にも愛知や大阪など5府県の家電量販店などで約300件(被害総額約3億8000万円相当)の盗みを繰り返したとして、再び愛知県警に窃盗容疑で逮捕されている。

 「野口容疑者はいわば愛知県警にとっては因縁の相手。今回の事件で犯人グループが犯行に着ていたとみられる『POLICE』と書かれた偽のジャンパーなどが山口県で見つかり、付着物のDNA鑑定などによって野口容疑者が浮上した際には県警が色めき立った」(報道関係者)という。

 今回の事件で被害に遭った男性らは犯行グループについて「面識がある人はいなかった」としているが、福岡で金塊ビジネスが盛んなことは半グレの間でも広まっていたとされる。そんな情報が野口容疑者の耳にも入った可能性が高い。

 別の捜査関係者は「とにかく金目のものに目がない。あると分かればどんどん名古屋から出て行く。情報屋に金を払い、情報を得たのではないか。全国のワルがワルを呼んだ事件だ」と話している。

夕刊フジ


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