http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/watcher/14/334361/053100848/?itp_pickup

高橋 健太郎=日経コンピュータ 2017/06/05

 猫が家から逃げ出した──。猫を飼っている人にとって、けがや病気に並ぶ心配事だ。IoT(インターネット・オブ・シングズ)が普及しつつある今、そんなときの備えになる技術的な対策は何か無いのだろうか。

 最近多く出回っているBluetoothを使った「落とし物防止タグ」「忘れ物防止タグ」は使えるか。だが、ちょっと調べてみると、使えなさそうと分かる。これらのタグ(発信器)はスマートフォンとBluetoothで接続し、タグがスマートフォンから離れると警告を発したり、その位置をスマホのGPS(全地球測位システム)で記録したりする。だから、接続が切れてから猫が移動してしまうと、どこにいるのか分からなくなってしまうのだ。

 だが逃げ出した猫を探せる手段はある。オープンストリームが開発した「ねこもに」という猫探しに特化したサービスだ。一度の発売延期を経て、2017年6月19日にようやく発売までこぎつけた。

 どんな技術で逃げ出した猫を探せるのだろうか。話を聞いてみると、IoTの開発事例としても興味深い内容だ。試行錯誤のうえに見出した解とはどのようなものか紹介したい。

ネックは電波の届く距離、開発延期で発信機の仕様変更

 「かっこよく言うとわれわれはBluetoothの限界に挑戦しています」(寺田英雄CTO)。そもそもBluetoothの信号は安定したものではなく、正確な測位をするのが非常に難しいという。

 ねこもには猫の首輪に付ける発信機とiPhoneのアプリをセットで利用する。実測値で半径75メートルの範囲内に猫がいれば、発信機が放出するBluetoothの電波をスマホがキャッチする。

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ねこもにの発信機。試作品のため製品版と色などが若干異なる
出所:オープンストリーム
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別売りのケース。試作品のため製品版と色などが若干異なる
出所:オープンストリーム
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発信機をケースに入れて首輪に付けた様子。試作品のため製品版と色などが若干異なる
出所:オープンストリーム

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 電波強度で距離を割り出せるが、最初は位置を特定できない。そこで飼い主のほうがiPhone片手に歩き回ることで情報量を増やし、猫の位置が推定できるようになる。アプリは猫の存在確率が高い箇所を色で表示し、そこへ人が近付いていって徐々に絞り込んでいくというわけだ。軍事技術の熱線追尾ミサイルや駆逐艦のソナー、あるいはお掃除ロボットと似た手法を使っているという。

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発信機から最初の信号を受信したときのアプリ画面表示。初めは一カ所での電波強度という1次元の情報しかないため、猫の存在確率が高い部分はスマホを中心とした円状になる。なおアプリ画面はアップデートにより変更される場合がある
出所:オープンストリーム

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ユーザーが移動するごとに異なる位置での電波強度の情報が追加され、それを手掛かりに猫のいそうな場所を絞り込んでいく
出所:オープンストリーム

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最終的に猫の居場所を特定できる。画面右下に表示されているグラフは、発信機から受信した電波の強度を示すレベルメーター(後述)
出所:オープンストリーム


(つづきはソースで)

(関連)
https://www.opst.co.jp/nekomoni/
ねこさがしIoTサービス「ねこもに」
「ねこもに」開発中!