埼玉県警がエロ表現を規制するよう漫画家に「申し入れ」をした――。
そんな報道が波紋を呼んでいる。

ことのあらましはこうだ。
今月12日、埼玉県警は、埼玉県草加市在住の無職・矢崎勇也容疑者(35)を住居侵入罪、強制わいせつ罪などで再逮捕(同罪状で逮捕済み)したと発表。
矢崎容疑者は昨年「放射能の調査をする」などと言い住居へ侵入し、十代少女へわいせつな行為を働いており、「インターネットで知った漫画作品を模倣した」と供述している。

問題は第一報の埼玉新聞の記事に「県警は今月7日に漫画家を訪ね、作品内容が模倣されないよう注意喚起を促すなどを要請」「漫画家は申し入れを受け入れた」との内容があったことだ。
第二報となった毎日新聞記事には、「少女が性的被害に遭うような漫画は今後描かない」と作者が語ったとも。
また両社記事ともに、捜査関係者の談話として「同様のケースがあれば今後も申し入れを行うことを検討したい」とある。

報道では模倣された作品名や作者名は明かされていないが、ネット上を中心に噂されているのは“エロ漫画界隈”で著名な作家。
その作家は自身のツイッターでも「埼玉県警の訪問を受けた」「報告と相談があった」と今月11日に投稿していた。
この作家は少女が登場する18禁作品を数多く発表しており、また誘拐、強姦などをリアルに描く過激な作風でも知られている。

この一件の何が問題なのか。
わいせつ事件に限らず、漫画、アニメ、AVなどに影響されたと被疑者が供述するケースは多いが、こうした申し入れが作者や出版社へ行われたという例は寡聞にして知らず、まさに“異例の申し入れ”と言える。
刑法学者で、共謀罪に反対の論陣を張ったことでも知られる京都大学・高山佳奈子教授は「表現の自由に対する重大な脅威」と懸念を表明。

AERA dot.の取材に「性表現は弾圧されやすいが、同じ理屈ならミステリー小説やホラーなども規制されるべきことになってしまう」とコメントし、また「そもそも有害図書等規制が行われている趣旨は“子どもがまねをする”ためで、大人はまねをしないことが大前提。
(表現物を)勝手にまねをする大人が出ても、それは100%その個人の責任」と、容疑者の供述に何ら正当性がないことを強調する。
メディア法の専門家である京都大学・曽我部真裕教授は「一般論として、警察が犯罪予防等の使命の達成のために企業や市民に対して任意の協力要請を行うことは認められている」としながらも、「こと表現の自由に関してこうした申し入れをすることには慎重であるべき」とコメントしている。

一方で、法的拘束力を持たない申し入れ程度であれば、作者は萎縮する必要はなく問題もないとの意見もネット上では散見される。
また幼女へのレイプ描写などを多く描いてきた作者に対し、「犯行の手口を広める」「少女を性的にまなざす風潮を助長してきた」といった批判もある。
架空の物語を描く作家たちに、どこまでの社会的配慮を求めるかについては、議論も多いだろう。

いずれにせよ、“異例の申し入れ”が今回に限り行われた理由はなんなのか。
その理由に関しては「捜査に支障もあるため回答できない」とのことで、埼玉県警からは無回答である。
この騒動の先行きはどうなるのか、漫画家のみならず、多くの法曹関係者も固唾を呑んで見守っている。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170615-00000077-sasahi-soci
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170615-00000077-sasahi-soci&;p=2

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