少女は雨宿りをしていた
ぼーっと雨を見ていた
傷ついた心のままに
何も考えられないほどの痛みで生きていた
いや、生きてるのか死んでるのかさえわからなかった
ふっと気がついたら、目の前に傘が…
目を上げると雨に少し濡れた男の人が差し出してくれていた
うっすらと優しげな微笑みで、
「これあげるよ。では!」
男の人はその言葉を残し去って行った
少女の手には傘が残った
少女は茫然としてしまった
こんな優しさに触れたことは初めてのことだった
ハッとした
何かわからないけど気持ちが爆発して、雨の中追いかけた
「あの!」
男の人は振り向いた
「…あたし、家に帰れないんです…」
涙がこぼれた…
「ありがとう」という感謝の言葉を言う前に、ついて出た言葉だった

つづく