量子というのは簡単に言えば原子や電子のことだ。
電子や原子はスピン(コマ運動のような状態)をもっている。
スピンはそれらの量子が置かれた環境に応じて固有周波数の
電磁波を吸収して状態を変え,それは観察できる。
そして一定時間が立つと元の状態に戻るという特徴がある。
現代のコンピュータが半導体を利用し,1と0の状態を電気信号で
入出力することで成立してるのに対して,量子コンピュータは
量子に電磁波を照射してスピンの状態を変化させて信号を
入出力すると考えられる。

ところで,量子に照射する電磁波は異なる周波数のものを一度に
照射することが出来る。同じ容器の中にA,B,Cの三種の量子が
あるとして,各々がa,b,c Hzの電磁波をそれぞれ吸収して
A',B',C'に変化し観察されるとする。
このとき,入力(電磁波照射)は,a,b,c,a+b,a+c,b+c,及び
a+b+cの7種類が考えられる。複数の電磁波を混ぜて一回の
照射で各量子を個別に変化させることができるわけだ。
この一回の入力で複数の量子を同時に変換しかつそれを
観測できるという現象を計算機に応用しようというのが
量子計算機だと認識している。

量子計算機はおそらくハードの面では原理的にすでに克服すべき
問題の多くは克服できていて,それをどのように計算に結び
つけるかというOSを作る段階にきていると考えられる。日本には
数学者も化学者も工学の専門家もいると思うが,それらの複数分野の
人々を上手く結びつけるプロジェクトを立ち上げない限り
この分野で先行することは不可能だろう。