http://www.afpbb.com/articles/-/3135353?act=all

【7月11日 時事通信社】国連の中満泉軍縮担当上級代表(事務次長)は10日、国連本部で時事通信のインタビューに応じ、7日に国連会議で採択された核兵器禁止条約について、核兵器の非人間性を訴えてきた被爆者の活動が「人道的な動きで条約をつくろうという大きなうねりとなった」と評価した。また、条約は「政策目標だった核兵器なき世界を国際法上の規範にしていくための第一歩」と指摘。一方、推進派と反対派の対立に懸念も示した。

 核軍縮の演説で被爆者の「英雄的な」努力に触れるようにしているという中満氏は、「核兵器は使用してはいけないという歯止めをかける人間性の規範をつくる上で、彼らのメッセージがおそらく最も大きなインパクトがあった」と強調した。

 条約については「直ちに(核兵器の)普遍的な禁止には至らないと思うが、少なくとも国際法上の規範として認められる条約ができたことの意義は大きい」と語った。

 一方、「短期的には条約の推進派と反対派の政治的対立ができるだろうし、既にできている」と指摘。対立を核拡散防止条約(NPT)の核軍縮プロセスに「飛び火させないようにいろいろやらないといけない」と述べ、2020年に行われるNPT再検討会議に向け、核保有国と非保有国の対話を深める雰囲気づくりに尽力する考えを明らかにした。

 また、不拡散と核軍縮、原子力の平和利用の三本柱からなるNPT体制を崩壊させないため、「NPTの枠内での(核軍縮に向けた)成果をどのように目に見える形で示していったらよいか」を考えるよう関係国に求めた。核保有国や日本など、核兵器禁止条約に加盟しない方針の国に対しては、具体的努力を通じて軍縮の取り組みを進めるよう訴えた。

 中満氏は8月に広島と長崎を訪問し、平和式典に出席する。(c)時事通信社

2017/07/11 16:00(日本)