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【7月17日 AFP】ドイツは長年、強いフランスのパートナーを待ち望んできた。しかし、自信に満ち、欧州で脚光を浴びるエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領(39)は、ドイツが求めていた以上の存在かもしれない。

 マクロン氏が大統領に就任してから2か月、仏パリ(Paris)から届いた印象的な映像は、欧州における事実上の主導権にどのような変化が出始めたかを示すメッセージとなった。

 マクロン氏は先週、フランスを訪問していたドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領夫妻を歓迎し、エッフェル塔(Eiffel Tower)でのディナーに招待した他、フランス革命記念日(Bastille Day)の14日には恒例の軍事パレードを共に参観した。

 両大統領の間で交わされた笑顔や力強い握手は、ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相とトランプ氏との間のぎこちない関係とはまるで対照的だった。

 マクロン氏は5月下旬、パリ(Paris)郊外のベルサイユ(Versailles)宮殿でロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領との初会談も果たしている。

 欧州の研究機関、ロベール・シューマン財団(Fondation Robert Schuman)のジャンドミニク・ジウリアーニ(Dominique Giuliani)氏は、マクロン氏が「フランスの試合復帰」を示そうとしているようだと述べ、「そこには対独関係のリバランス(再均衡)がある。それは必要なことだ」と指摘した。

 熱心な欧州連合(EU)擁護派であるマクロン氏の仏大統領就任は、欧州の統合をけん引し、世界最大の経済圏を築いた独仏協働への回帰を望む声を呼び覚ました。

 両国の力関係がより均衡となることは、9月に連邦議会選挙を控えているドイツのメルケル首相にとっては安心材料の一つとなる。ナチスドイツ(Nazi)の過去の過ちがあるため、メルケル首相は欧州単独のリーダーとなることには一貫して後ろ向きのスタンスを取っている。

■本当は「単独主導」を希望?

 独仏首脳は異なる政治スタイルを掲げてはいるが、今のところはそれが欧州における主導権に実質的な影響は与えていない。

 EUは今、内からナショナリズム、外からはブレグジット(Brexit、英国のEU離脱)やトランプ大統領による「米国第一主義」といった問題にさらされてはいるが、独仏両首脳は、EUをまとめるという共通のゴールの下で互いに協力しあっている。

 しかし、9月の独議会選挙の後は、単一通貨ユーロの改革をめぐる協議が加速するとみられ、両国関係も大きな試練に直面することになる。

 このスタンスの違いは、独仏両政府間の溝を深める要素となる可能性があり、これに対処するには、メディア映えするイメージや友好的な言い回し以上のものが必要不可欠となってくる。

 一方で、マクロン氏の力強い人物像やフランスの存在感を際立たせるやり方に、実際は単独で主導することを望んでいるのではとの声も一部からは上がっている。ある外交筋はAFPに対し、「ドイツでは、トランプ氏のパリ訪問のニュースを驚きとともに受け止めた」と語っている。(c)AFP/Yacine LE FORESTIER

2017/07/17 15:59(ベルリン/ドイツ)

独ハンブルクで開催のG20で、(左から)エマニュエル・マクロン仏大統領、ドイツのアンゲラ・メルケル首相、ドナルド・トランプ米大統領(2017年7月7日撮影)。(c)AFP/John MACDOUGALL
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