※続きです

長男は体調のよい時には親御さんが与える小遣いで欲しいものを買いに外へ出かけることがあるようです。
小遣いが足りない月は親にせびることもしばしば。
精神的に不安定になってしまう日もあり、親御さんは病院に通うことを勧めていますが、本人が嫌がって今まで通院をしたことはないとのことでした。

収入は年金だけ、財産は虎の子の500万のみ
次にご家族の財産、収入支出を伺いました。

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▼財産
貯金……約500万円
※その他の財産なし
▼収入
お父さん……公的年金収入 210万円/年
お母さん……公的年金収入 74万円/年
※公的年金以外の収入なし
▽支出
生活費や家賃など……年額392万円
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単純計算ですが、貯金500万円÷年間の赤字108万円=約5年で貯金が底をつく、ということがわかりました。

■「ひきこもりの子に小遣い6万円」は正しいのか? 

「えっ? うちにはもうこれだけしかお金がないの? やばいじゃん。どうすればいいの」

家計の状況やいずれ貯金が底をつくという現実を初めて知った長男。
聞けば、家族のお金のことはとても気になったけれど、なかなか聞き出すタイミングがなかったとのこと。
もっと早く教えてくれればよかったのに……とかなりショックを受けてしまったようです。

このご家族には他にも多くの課題が見つかりましたが、その分、私からの提案も多くなってしまいます。
最初から多くの提案をしてしまうと何から実行していけばよいのか迷ってしまい「結局何も行動しない」というリスクが高くなってしまいます。

どんな解決策でも、それを実行しなければ現実は変わりません。
そこで長男を含めたご家族での話し合いの結果、まずは以下の2点を早いうちに確実に実行する、ということで覚悟を決めていただきました。

・長男の小遣いの減額
・住み替え先を探す。可能なら早目に住み替える。

この2つの提案を実行するだけでも、年間の支出はかなり改善します。
長男の小遣いは月6万円。小遣いの主な使い道は、お菓子、ジュース、マンガ、ゲームソフト、パソコンのゲームや周辺機器、映画、アニメグッズ、フィギアなど。
足りない月は追加で請求していたため、小遣いだけで年間約80万円もかかっていました。

「小遣いは減らしてください。月3万円あれば大丈夫です」

長男の小遣い減額の話になった際、長男自らがこう切り出してくれました。

「小遣いは減らしてください。月3万円あれば大丈夫です。足りなくなってもせびることはもうしません」

ここで注意いただきたいことは「小遣いは0円にしない」ということです。
ひきこもりのお子さんに小遣いを与えること自体は決して悪いことではありません。

お金を遣って欲しいものを買いに行くという活動は、お子さんが社会とつながるために必要不可欠なものだからです。
ただ、今回のご家族にとって「月6万円+アルファ」という金額はちょっと多かったように思われたので、減額という提案をさせていただきました。

次に住まいに関するお金の見直しです。マンションの家賃や管理費は月額計11万円。
お父さんが現役世代の時は何とかなっていましたが、退職後、年金生活に入った後はこの月額11万円はかなりの出費と感じていたようです。

※続きます