(CNN) 北米や欧州、豪州に住む男性の精子の数は近年減少の一途をたどり、40年ほど前の6割近くまで落ち込んだという研究結果が27日までに発表された。
イスラエルのエルサレムにあるヘブライ大学のハガイ・レビン博士とブラジル、デンマーク、イスラエル、スペイン、米国の研究者らによる共同チームが、過去に報告された185件の研究結果を分析し、生殖医療の専門誌に論文を発表した。

1973―2011年に精液を提供した50カ国の男性計4万2935人について、精子の総数と濃度(精液1ミリリットル当たりの数)を調べた。
すると北米や欧州、オーストラリア、ニュージーランドの先進諸国に住む男性のグループでは、精子の濃度が毎年平均1.4%ずつ下降し、全体ではマイナス52.4%。総数は同1.6%ずつ減少し、全体で59.3%減になっていることが分かった。

チームによると、南米やアジア、アフリカに住む男性のグループでは目立った変化がみられなかった。
先進国グループの激減ぶりには、レビン博士自身も「信じられない」とコメントしている。特に濃度が1ミリリットル当たり4000万以下と、妊娠の可能性が低くなるとされるラインを下回っている点が懸念されるという。

精子の数については、1992年にデンマークの生物学者が報告した研究でも減少傾向が指摘されていた。91年までの50年間を対象に61件の研究結果を分析したが、1件の大規模な研究で全被験者の3割を対象にするなど偏りがあり、批判も多かった。それ以来、精子は本当に減少しているのかどうかという論争が続いてきたが、「これでかなり確実な答えが出た」と、レビン博士は強調する。

ただ減少の理由については依然としてさまざまな説がある。環境ホルモンや肥満の影響を示唆する意見があるほか、精子の数は気温に左右されることから、「温暖化の影響」と言い切る専門家もいる。
レビン博士は「これまでの研究で、出生前にさらされた化学物質、成人後に摂取した農薬、喫煙、ストレス、肥満といった環境要因や生活習慣との関連は分かっている」と指摘。先進国の男性らに禁煙や減量、ストレス軽減などの努力を勧めている。

配信 2017.07.27 Thu posted at 18:38 JST
CNN
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