法務省は、税や社会保障などの行政手続きに活用される「マイナンバー制度」の利用範囲を戸籍に拡大する方針を固めた。9月中旬の法制審議会(法相の諮問機関)総会で戸籍法の改正について諮問する。

結婚の届け出やパスポート申請、老齢年金請求などの際に行政機関に対して戸籍証明書(謄本や抄本など)の提出が不要になり、手続きが簡素化される。

同省は、法制審での審議を経て、2019年の通常国会での戸籍法改正案の提出を目指している。【鈴木一生】

省内に設置された有識者らによる研究会が14年10月から戸籍事務でのマイナンバー導入を検討、1日に法制審で議論のたたき台となる最終報告書をまとめた。

戸籍は約1900の市区町村がそれぞれ独立したシステムで管理しており、自治体間ではほとんどネットワーク化されておらず、文字のデザインなどもまちまちだ。
最終報告書は、同省が大規模災害に備えて全国2カ所に戸籍の副本をバックデータとして保存している仕組みを利用し、マイナンバーとひも付けする新たなシステム(仮称・戸籍情報連携システム)の構築を提案。

文字のデザインも同じ文字とみなされるデザインを集め、コードを統一することで連携を可能にする。

戸籍は1994年以降、各自治体が順次電子化してきた。電子化前の除籍などは紙や画像データとして保存されているケースが多く、マイナンバーとのひも付けは手作業となり、膨大な作業量が予想される。
そのため最終報告書は、ひも付けの対象は電子化された戸籍に限定し、電子化以前の除籍などが必要となる相続などの手続きについては「当面の間、連携対象としない」と結論付けた。

一方、戸籍には親族関係や夫婦関係などプライバシー性の高い情報が記載されていることから、個人情報の流出や不正利用への対策が法制審での議論のポイントの一つとなる。
現在、戸籍証明書は本籍地だけで交付可能なため、申請者が他の自治体に住んでいる場合は郵送で取り寄せたり、自治体が提携するコンビニエンスストアの端末を操作したりして入手する必要がある。

報告書は、マイナンバーとの連携で児童扶養手当請求▽老齢年金請求▽年金分割請求▽パスポート申請−−などの手続きで戸籍証明書の提出が不要になると想定している。

マイナンバー制度の利用範囲を戸籍事務に拡大した場合のイメージ
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配信 8/2(水) 9:00配信
毎日新聞
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