ヤマメやアユの人気釣り場である群馬県桐生市の渡良瀬川で、カワウの食害に頭を悩ませる両毛漁協が4月から6月にかけ、川の上にドローンを飛ばし、ぶら下げたスピーカーから爆音を響かせ、カワウを追い払った。駆除対策には他に空気銃を使う方法など現場では試行錯誤が続く。

同漁協組合長の中島淳志さん(45)は「カワウは大食漢で1羽が1日に500グラムの魚を食べる」と言い、川岸の木々にカワウが1カ所で500〜600羽の巨大コロニーをつくり、放流された稚魚を捕食するという。500グラムはヤマメの稚魚200匹分にも及ぶ。

中島さんは「ドローンで追い払う効果は確認できたが、相手は生き物。制限がある中、いろいろなことをやり続けないといけない」と話す。

音でカワウを追い払うというのは、中央水産研究所内水面研究センター(栃木県日光市)の研究員、坪井潤一さん(38)のアイデア。
「ドローンでカワウの生息地にロケット花火を落とすことを考えたが、法規制で火薬を使えず、爆音を使ってみた」と話す。これは一定の効果を上げたが、カワウは逃げても、「学習効果で危害が及ばないことが分かると戻ってくる」(坪井さん)。

このため、同センターでは、カワウの巣にドローンでドライアイスを落とし、卵を孵化(ふか)させなくする作戦も実施。「甲府市内で行ったが、7月にかえった卵がなかったことを確認した」という。
県内では、空気銃を使ってカワウを駆除する「シャープシューティング」を昨年から各地で実施。県によると、28年度は前年度の297羽の3倍超、1034羽を駆除し、効果をあげた。

坪井さんは「駆除には適材適所がある。空気銃とドローンの活用など複数の手段が効果をあげるだろう」と話している。

ドローン(左)に追われて飛び立つカワウ=桐生市の渡良瀬川
http://www.sankei.com/images/news/170804/lif1708040018-p1.jpg

配信2017.8.4 11:10更新
産経ニュース
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