沖縄・石垣島など琉球列島の川にすむ希少なハゼが、実は新種だったことがわかり、川底に隠れ潜む姿から「忍者」と学名がつけられた。沖縄科学技術大学院大学の前田健研究員らの研究チームが、日本魚類学会の英文誌で発表した。これまでは別の種だと考えられていた。

 新種とわかったのは、和名でエソハゼと呼ばれるハゼの仲間。体長2〜3センチで、川の浅瀬の川底が砂利になっている場所に生息する。

 もともと数が少なく、環境省レッドリストでは近い将来の野生での絶滅の危険性が高い「絶滅危惧1B類」に分類されているが、詳しく調べられていなかった。研究チームがDNAを解析したり、海外の標本を調べたりしたところ、これまで報告された種のいずれとも特徴が一致せず、新種と判明した。

 エソハゼの体には茶色や黒の模様があるため、じっとしていると川底の砂利にまぎれて見つけにくい。それがまるで忍者のようだとして、「スキスマトゴビウス・ニンジャ」と学名をつけた。詳しい生態はまだわかっていない。

 前田さんは「エソハゼは限られた場所にしか生息できない。エソハゼが生息できるような川を残すことが、生態系を守るために重要だ」としている。(小堀龍之)

http://www.asahi.com/articles/ASK7W3V1PK7WULBJ005.html
学名に「ニンジャ」とつけられたエソハゼ(沖縄科学技術大学院大学の前田健さん提供)
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川底の砂利にまぎれるエソハゼ。尻尾を砂利の中に隠し、顔を左に向けている=沖縄科学技術大学院大学の前田健さん提供
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