テレビ朝日が、米国の水爆実験による健康被害を特集した
「ザ・スクープスペシャル マーシャル諸島・アメリカ徹底取材! ビキニ事件63年目の真実」に「フクシマの未来予想図」と副題を付け、
ネット上で批判が殺到、同局は副題を削除した。

しかし、福島県在住で風評被害と戦ってきたフリーランスライターの林智裕氏は「テレビ朝日は説明責任を果たすべきだ」と怒りをあらわにする。

 「広島原爆の日」の8月6日に放送される同番組のホームページ(HP)によると、
1954年の米国による水爆の実験場となったマーシャル諸島とその元島民、マグロ漁船「第五福竜丸」の元乗組員らを取材。米国で核実験に関する「衝撃的な機密文書を多数発掘」したとする。

 HPには当初、前述のサブタイトルや「63年経った今も帰れないマーシャル諸島の故郷の島。それは、フクシマの未来予想図なのか?」という文言が記載されていた。

 水爆実験による放射能汚染と、福島第1原発事故を同列に並べているように読めるため、ネットなどで批判が相次いだ。同局は「誤解を生じかねない」として副題を削除、
HPの内容も修正したが、福島県在住で、「福島関連デマを撲滅する!」プロジェクトの立ち上げメンバーでもある林氏はこう憤る。

「報道ステーションなどでもたびたび見られたが、同局は震災後にしばしば福島に対する誤解を誘導させる、いわゆるほのめかし報道を繰り返してきた。
今回も『フクシマの除染は無駄だ! 除染しても人の住める土地には戻れないのに、除染したからと安倍政権は原発事故をなかったことにしようとし、
住民を強制的に帰還させている!』として政権批判のプロパガンダに利用しようとしたのは明確だ」

 その上で「こうした意図を正当化できるはずもなく、だからこそ、謝罪や弁明は全くないまま『誤解を招く』という意味不明な説明にとどまっている」と続けた。
 林氏が最も怒りを覚えたというのが、マーシャル諸島のロンゲラップ島を取材した同局アナウンサーのブログだという。

 「『除染が済んだというアメリカの指示に従って帰島。しかしその後、甲状腺がんや乳がんなどを患う島民が相次ぎ、女性は流産や死産が続いたそうです。
体に異常のある子供が生まれるということも』などと語ったことだ。これは、除染の完了などでの避難指示解除に伴って『帰福島』が進みつつある被災地への当てこすりでしかない」

 政府を信じて帰還したらお前たちもこういう運命になる−。そうした印象を視聴者に残そうとしたと林氏はみる。
「そうでなければ、放射性物質による被曝量がケタ違いに異なるなどの条件を無視してまで、この文脈で『フクシマの未来予想図』などというサブタイトルを付ける理由はない」と断じた。

 林氏は続ける。 「誤解があるというのなら、テレビ朝日は説明責任を果たすべきだ。ダンマリを続けるならば、多くの批判が的を射ており、
反論すらできないのだと見なされるのは当然だろう」

 福島からの叫びはテレビ朝日に届くのだろうか。

http://www.sankei.com/affairs/news/170807/afr1708070020-n2.html
http://www.sankei.com/affairs/news/170807/afr1708070020-n1.html