大阪府和泉市の産婦人科医院で1月、麻酔で出産の痛みを和らげる無痛分娩ぶんべんに臨んだ女性(当時31歳)が死亡した事故で、男性院長(59)が容体急変後に適切な処置を怠っていた疑いが強まったとして、府警は今月中にも院長を業務上過失致死容疑で書類送検する。

捜査関係者への取材でわかった。

捜査関係者によると、女性は1月10日、和泉市の「老木おいきレディスクリニック」で、背中に入れた細い管から麻酔薬を注入する「硬膜外麻酔」を受けた後、呼吸困難に陥り、意識を消失。堺市の病院に搬送されたが、同20日、低酸素脳症で死亡した。子どもは搬送前に帝王切開で生まれ、無事だった。

府警は、搬送先から連絡を受け、司法解剖や専門医への聞き取りを実施。女性は麻酔が効き過ぎて呼吸困難などになった可能性が高いことがわかった。この場合、喉に管を通して空気を送り込む気管内挿管などを行えば回復が見込めるが、院長はこうした処置を施さなかったという。

府などによると、事故時の常勤医は院長1人だったという。無痛分娩は2013年頃から行っていたが、事故後は中止している。読売新聞の取材に院長は「きちんと対処した」と語り、院長の代理人弁護士も「呼吸を再開させるため適切な処置をした」と説明している。

2017年08月09日 07時42分
YOMIURI ONLINE
http://www.yomiuri.co.jp/national/20170809-OYT1T50029.html