人材サービスのパソナグループは9日、東京・千代田の本社ビル内部に観光牧場を開設した。名称は「大手町牧場」。ウシなどの動物と触れ合える場所を設けることで、食育につなげるほか就業人口の減少が著しい酪農業への関心を高めてもらう狙いもある。開所式で、南部靖之代表は「動物に触れていろいろなことを学んでほしい」と話した。

 同社は再開発に伴い、本社を7月3日に東京・千代田の東京駅日本橋口近くのビルに移転した。ビル13階に都市型観光牧場として大手町牧場を開設した。酪農分野の人材育成や、子ども向けの「食育」などに活用する。

 敷地面積は1000平方メートルでウシ2頭、ヤギ9頭、ミニ豚6匹のほか、フラミンゴやフクロウなどを飼育する。見学できるのはパソナの社員や取引先企業、同社の開催する講座やセミナーを受講する人に限定する。

 酪農分野は酪農家の減少や乳牛不足で、生乳の生産量が減りバターが不足するといった事態も生じている。パソナは観光牧場をきっかけに、将来的には酪農家を志望する人材をグループ子会社が京都府に所有する牧場で受け入れ、実際に酪農業に従事してもらいながら人材を育成していく方針。

 同社は2003年に農業分野の人材育成に乗り出したほか、05年には本社に農場を設けて農業分野に積極的に取り組んできた。今後は酪農の活性化にも貢献したい考えだ。

(岩野孝祐)

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ09HN7_Z00C17A8000000/
2017/8/9 17:37