http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170811/k10011096431000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_001

森林や草地などにいるマダニが媒介する感染症SFTS=重症熱性血小板減少症候群。先月下旬までに国内で58人の死亡が確認されています。危険なSFTSのウイルスを運ぶマダニが、犬や猫などのペットにもつくことがあることがわかってきました。ペットがSFTSに感染することはあるのか、人への感染、対策は。マダニ感染症の最新報告です。(ネットワーク報道部・高橋大地記者)

世界初 猫が発病

「猫にSFTSのような症状が出ているので調べてほしい」。

ことし4月、山口大学共同獣医学部の前田健教授のもとに、西日本の動物病院から連絡が入りました。前田教授は、5年前、日本で初めてSFTSウイルスを分離することに成功した専門家です。

症状が出ていたのは、2歳のメスの飼い猫でした。4月中旬、突然食欲を失い、動物病院に連れられてきました。その日はいったん家に戻りましたが、3日後に、39度5分の高熱を出します。状態はかなり悪く、入院して、点滴や抗生物質での治療を受けました。

連絡を受けた前田教授は、遺伝子検査を実施し、SFTSへの感染を確認しました。

SFTSは、マダニが媒介するウイルスで発症します。
人間の場合、感染すると、発熱やおう吐、下痢などの症状が現れ、重症の場合は、出血が止まらなくなったり、腎臓の機能が低下したりして死亡することもあります。この5年間で280人が感染、このうちおよそ2割にあたる58人が死亡しています。

しかし、前田教授によると、これまで猫がSFTSを発症した例は知られておらず、これが世界初の事例となりました。
前田教授は「高熱が出たり、血小板の数が減ったりと人間の症状とよく似ていた。これまでネコでは、発症した例はおろか、感染した例も知られていなかった。とうとう見つかったかという感じでした」と話しています。その後、ネコは、治療のかいあって元気になったということです。

マダニがペットの猫につく例が増えている?

今回、SFTSを発症した猫は、野外でマダニにかまれることでウイルスに感染したと見られています。でも、主に野山などにいるマダニがペットの猫につくことはよくあることなのでしょうか。

NHKの取材チームは、ちょうど先月、強い毒を持つ南米原産のヒアリが国内で見つかったことの取材をきっかけに、マダニをはじめとしたほかの危険生物に関する情報提供をホームページなどで呼びかけていました。

寄せられた情報の中に「最近、ネコにマダニがついている例が増えている」という、鳥取県の獣医師からの投稿がありました。
その獣医師に話を聞いたところ、「犬にマダニがつくケースは多く見てきたが、これまで猫につくケースはあまり見なかったので、なぜ増えているのか気になった」と答えてくれました。

この投稿をきっかけに、NHKは今回、「猫にマダニがつくことがあるか」を全国の動物病院にアンケート調査することにしました。

これまでところ74の動物病院から回答があり、このうち47の病院が猫にもマダニがつくと回答しました。ペットの猫にマダニがつくことは、かなり頻繁に起きていたのです。
(リンク先に続きあり)

8月11日 14時52分

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170811/K10011096431_1708102216_1708102219_01_02.jpg
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http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170811/K10011096431_1708102117_1708102219_01_05.jpg