https://cdn.mainichi.jp/vol1/2017/08/11/20170811k0000e040279000p/9.jpg?2
滋賀県立湖南農業高校(草津市)の「生け花男子」2人組が高校日本一に挑戦する。今年が第1回となる「全国高校生 花いけバトル」の近畿大会で頂点に立った「フラワーボーイズ」。
2人とも生け花を始めたのは高校に入ってからとキャリアは浅いが、豊かな発想力と力強いパフォーマンスで、審査員となる観客を魅了する。全国8ブロックと開催地・香川県代表の計9チームによる全国大会は19、20の両日、香川県高松市の栗林公園などで開かれる。【濱弘明】
いずれも花緑科3年生の洞(ほら)遥一さん(18)と前田陽平さん(17)。洞さんは自宅で観葉植物を育てる植物好きが高じて湖南農を志望した。2年の頃から生け花を始め、個人で大会にも出場するようになった。前田さんの場合、花は好きだが生け花には「女性のやること」と抵抗感を持っていた。フラワーアレンジメントなどを教える中尾素子教諭の指導で、最近になって楽しさに目覚めた。
2人は「ごく普通の級友」と口をそろえるように、親友というわけでもない。地域の親子を対象にした「フラワーアレンジメント教室」を11月に開くにあたり、中尾教諭がセンスを見込んだ2人を講師に指名。それがコンビ結成につながった。
バトル出場を決めたのはエントリー締め切り直前の5月中旬。練習を始めるにも、学校にはステージに置くような大きな器がない。途方に暮れていたところ、陶芸やデザインを教える県立信楽高校(甲賀市)から「うちの信楽焼のつぼを使って」と申し出があった。地元の草津市からも、イベントの装飾で使った花を譲り受けた。
「バトル」は対戦形式で進められる。各チームが1人当たりの持ち時間5分でステージに上がり、即興で花をアレンジ。舞台上のパフォーマンスも評価の対象となり、より多くの観客の支持を受けたチームが勝つ。
京都市内で7月8日にあった近畿大会には「フラワーボーイズ」も含め9組が出場。対戦相手は経験豊富な女子コンビばかりだった。「女子の力はすごいな」(前田さん)と力量を認めつつ、相手の技を次のバトルに取り入れる柔軟性を発揮した。男子ならではのダイナミックな身ぶりで観客を沸かせ、バトルを重ねるごとに相手を圧倒するようになっていった。
前田さんの持ち味は「花とつぼのコンビネーション」、洞さんは「花の表情を生かしながら、その時の自分の思いをぶつけていく」という。大きな舞台で持てる力を出し切る覚悟だ。
配信 2017年8月11日 14時25分
毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20170811/k00/00e/040/283000c