日銀が買う国債は、誰が責任を負うのか〜異次元緩和の「都市伝説」のカラクリ
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「異次元緩和政策で日銀が買い入れた国債は、日銀が持っている限り、返済負担が生じない。
それなら、いっそのこと日銀が保有する国債は、政府の借金とみなさなくてよいではないか」
との声がある。だが、それは誤りである。日銀が買い入れている国債は、デフレが脱却できたら、
国民の税負担で返済を迫られる。
仮に異次元緩和政策でデフレが止められたとしよう。デフレが止まること、
すなわち物価上昇が持続的に起こる状態となる。異次元緩和政策が功を奏して緩やかな
インフレにできるか否かは、これまた議論が分かれるところだが、いずれにせよ、
デフレが止まれば高率か低率かを問わず物価が上昇する。
インフレになると民間の経済主体や金融機関はできるだけ通貨を持たなくなり、
日銀は通貨を吸収するため、保有している国債を放出せざるを得なくなって、
売りオペレーション(市場で国債を売る)を行うことを迫られる。
したがって、かつて日銀が買い入れた国債といえども、デフレが止まると、民間が保有することになって
償還のための税負担が生じることになる。異次元緩和政策の狙いと、
その狙い通りになった後のことを考えれば、自明のことである。デフレが止まっても、
日銀が買い入れた国債の返済のための税負担が生じない、などということはありえない。
では、日銀は買い入れた国債を売りオペしなければよいのだろうか。そうすれば、インフレ下で、
民間が保有する通貨が市中に過剰に残るため、高率のインフレになる圧力がかかることになる。
そうなれば、やはり日銀は、物価の安定のために売りオペをして市中の通貨を吸収せざるを得なくなる。