高校の発達障害支援手探り 京都、教員スキルや財政課題
2017年08月20日 22時00分
http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20170820000101

 京都府と京都市の両教育委員会が、発達障害に対する高校での支援の充実を図ろうとしている。小中学校と違い、これまで高校には障害の特性によって個別に指導する「通級指導教室」がなかったが、国の制度変更で来年度から設置が可能になったからだ。ただ、教員のスキルや財政面での課題があり、模索状態が続きそうだ。
 「今週あった出来事を話して」「リズムに合わせて手足を動かして」。田辺高(京田辺市)で週1回放課後に行われている特別支援授業。コミュニケーションに課題がある生徒らが、教員の指示に従い、呼吸法や音読などのプログラムに取り組んでいた。
 国が高校での通級指導を導入するのに向け、同高は2014年度に文部科学省の研究指定校になった。専門性を持つ教員がいなかったため、先進校への視察や研修など試行錯誤を重ね1年かけて準備を進めた。
 最も議論になったのは、「どの時間帯に行うか」「対象生徒をどう選ぶか」だったという。小・中学校での通級指導は、通常の授業時間に対象の子どもだけクラスを抜けて受けるが、多感な高校生では他生徒のからかいの対象になりかねない。小中で支援対象になっていても、情報が高校に引き継がれないケースも多く、選ぶ基準も明確でなかった。
 同高の特別支援授業は、放課後に実施することにし、対象生徒は、入学式後の保護者説明会などで募った。本当に支援が必要か1学期間かけて見極めたという。指導は、教員と生徒の信頼関係をじっくりと構築することに重点を置いた。
 生徒たちは最初、無断で教室を休んだり、教員との会話も難しかった。2年かけて少しずつ好転が見られ、クラスメートとの関係の作り方も良くなり、自ら学習に向かうようになったという。当初は難しいと考えられていた就職も視野に入るようになった。
 竹中秀治副校長は「生徒にとって社会に出る日が近く、高校の通級指導が果たすべき役割は現実として大きい。今後も研究を続けていきたい」と話している。

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