今月6日午後8時半頃、秋田市で行われた「秋田竿燈かんとうまつり」で、折れて倒れた竿燈のさおの一部が、県外から訪れた70歳代の男性観光客の顔面を直撃し、右目の周辺などを切る顔面挫創の大けがを負っていたことが24日、市などへの取材でわかった。

 男性は現在も入院治療中だという。まつり実行委員会を構成する市は事故を認めた上で、「万全な安全対策を今後検討していきたい」としている。

 市消防本部によると、事故は秋田市大町の竿燈大通りの会場で発生した。巡回していた同本部の職員が、竿燈が倒れる様子を目撃。駆け付けると、男性の右目周辺から出血していたため、無線で救急搬送を要請した。男性は市内の病院に救急搬送された。

 実行委によると、これまでに竿燈が倒れるなどして見物客がけがをすることはあったものの、軽傷がほとんどで、少なくとも2012年以降、入院治療する程度のけが人が出たのは今回が初めてだという。

 各竿燈会をとりまとめる秋田市竿燈会によると、折れた竿燈は、標準的な「大若」(長さ約12メートル、重さ約50キロ)よりも長く竹を継ぎ足していたとみられる。まつり期間(3〜6日)の最終日とあって会場の盛り上がりはピークに達し、事故現場では竿燈が大きくしなっていたという。

 竿燈を「つ」の字のようにしならせる技は、折れる危険性がある。今年のまつり開催前の集会では、各竿燈会の代表者に対し、「夜本番」では竿燈を極端にしならせないよう特に注意喚起を行っていたという。

 実行委では事故防止のため、歩道や有料観覧席の高さ5メートル前後の位置にワイヤやロープを設置し、見物客に竿燈が倒れないようにするなどの対策を講じている。ただ、ワイヤやロープにかからない位置で竿燈が倒れると見物客に当たる危険性があるという。

 今回大けがをした男性の医療費や移動のための交通費は、実行委が加入する保険会社が負担している。実行委は「男性の希望で事故を公表する予定はない」としている。

2017年08月25日 18時09分
YOMIURI ONLINE
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