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減少が懸念される太平洋のクロマグロの資源管理を話し合う国際会議が28日から韓国で始まります。日本は、マグロの量が回復していると確認されれば漁獲量の上限を引き上げられる新たな仕組みを提案する方針で、参加するほかの国や地域から理解が得られるかが焦点となります。

日本近海を含む太平洋のクロマグロの資源管理を話し合う国際会議、中西部太平洋まぐろ類委員会の小委員会は、28日から韓国のプサン(釜山)で開かれ、日本やアメリカ、それに中国、韓国など10の国と地域の代表が出席する予定です。

クロマグロの資源管理をめぐり、前回までの会議では、成長したクロマグロの量を2024年までに今の倍以上の4万1000トンに増やすことを目標に、漁獲量に上限を設けて規制することで合意しています。

これについて、日本は、今回の会議でクロマグロの量は回復傾向にあるとして新たな仕組みを導入するよう提案する方針です。具体的には、クロマグロの量が回復していると確認できれば漁獲量の上限を引き上げられるようにする一方で、目標の達成が難しくなればより厳しい漁獲の規制を行います。

これによって、日本としては、国内の漁業者の多くが漁獲しているこの海域で将来的に規制の緩和につなげたいという狙いがあります。しかし、資源の回復に向け厳しい漁獲規制を求めてきたアメリカなどからは反発も予想され、日本の提案に理解が得られるかが焦点になります。
太平洋クロマグロ 3年前に絶滅危惧種に
クロマグロはマグロの中で最も高級とされ、すしネタや刺身として人気です。中でも、日本近海を含む太平洋でとれるクロマグロは太平洋クロマグロと呼ばれ、国内で消費されるクロマグロの3分の2近くを占めています。

しかし、乱獲などによってその資源量は大きく減少し、国際的な研究機関のISC=北太平洋まぐろ類国際科学委員会の推計によりますと、成長した太平洋クロマグロの量は2014年の時点で1万6000トン余りと、ピークだった1961年の1割ほどまで減っているということです。

こうした中、野生生物の専門家などで作るIUCN=国際自然保護連合は、3年前、太平洋クロマグロを絶滅の危険性が増大しているとして絶滅危惧種に指定しました。
日本沿岸では漁獲枠超える水揚げ
マグロの資源管理をめぐっては、5つの海域ごとに協議が行われています。

今回開かれる中西部太平洋まぐろ類委員会の小委員会が対象とするのは、日本近海を含む太平洋の北西部の海域で、日本で消費されるクロマグロの主要な漁場となっています。

前回までの会議では、成長したクロマグロの資源量を2024年までに現在の倍以上の4万1000トンに回復させることや、目標達成に向け参加する国と地域に年間の漁獲枠を設けることで合意しています。

これを受けて、日本では、重さ30キログラム未満の小型のマグロと30キロ以上の大型のマグロの漁獲枠を設けています。しかし、日本の沿岸ではことし6月までの1年間で見ると豊漁が続き、小型のクロマグロについては漁獲枠を超える量が水揚げされており、会議に参加する国や地域から管理が不十分だと指摘されかねない事態となっています。

このため、国は、漁獲規制を強化するため来年から罰則を導入する方針で、厳格に資源管理に取り組む姿勢を示すことで参加する国や地域の理解を求めたい考えです。

8月28日 4時50分