「え、国内にこんな島があったなんて……」。訪れた人の多くがそうつぶやく、周防(すおう)大島(山口県)。その形から「金魚島」の愛称で親しまれる瀬戸内海ののどかな島です。

 山口県柳井市と周防大島を結ぶ、全長1キロ強の大島大橋が完成したのは1976年。それまでは、本州への往復には航路を利用していました。
 船の便数が限られていたため、柳井市内の学校に通う子どもたちの中には下宿せざるを得ない子もいました。わずか1キロ先の対岸に見える町の明かりを、親御さんたちはどんな思いで見ていたのでしょうか。

 この周防大島が今、注目されています。旅行の目的地だけではなく、働く場としても。現地に渡り、話を聞いてきました。

■島のサテライトオフィスで子育てしながら勤務

 周防大島は「瀬戸内のハワイ」とも呼ばれています。今から132年も前、1885年(明治18年)から「官約移民」として3913人もの島民がハワイに渡り、その子孫の多くが現在もハワイに暮らしているのです。
 こうした背景から、周防大島は1963年(昭和38年)にカウアイ島の姉妹島となりました。毎年、姉妹縁組を結んだ6月22日から8月31日の期間はアロハシャツを正装とする「アロハビズ」を実施しており、ホテル、銀行、役場でもアロハシャツでお出迎え。ちょっとしたハワイ気分を味わうことができます。

 その島に昨年、東京の企業が拠点を開設しました。POSレジのシステムを開発するビジコム(本社:東京都文京区)の周防大島サテライトオフィス(周防大島町和田)を訪れてみました。

https://style.nikkei.com/article/DGXMZO20257340S7A820C1000000?channel=DF260120166504