http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201708/CK2017082802000121.html
 政府が自治体に要請した朝鮮学校への補助金支出の再検討が進んでいる。文部科学省の調査によると、朝鮮学校がある二十八都道府県のうち、二〇一六年度実績で補助金を交付したのは十四道府県にとどまり、一五年度の十八道府県から減った。新たに六県が交付を取りやめ、二県が再開した。北朝鮮の核・ミサイル開発や拉致問題を背景にした政府や自民党の働き掛けが影響しているとみられる。

 朝鮮学校を巡っては文科省が一六年三月、補助金支出の妥当性を再検討するよう関係自治体に通知した。それ以前から一部自治体に支給見直しの動きはあった。大阪府と大阪市の不支給決定では学校側が取り消し訴訟を起こし、控訴審で争っている。

 文科省調査によると、一六年度に十四道府県が交付した補助金は総額一億二千三百十五万円。一五年度の総額一億九千三百十一万円から約七千万円減少した。交付を取りやめたのは茨城、栃木、神奈川、福井、三重、和歌山の六県。一五年度実績のなかった埼玉、岡山両県が交付した。全国の市や特別区で一六年度に補助金を交付したのは百六カ所で、総額一億七千百二十一万円。一五年度は百十四カ所で総額は約九百万円減った。

 自民党の拉致問題対策本部は一五年六月、北朝鮮が約束した拉致被害者再調査が進んでいないとして制裁強化の提言を安倍晋三首相に手渡し、補助金の全面停止を自治体に指導するよう盛り込んだ。翌年の文科省通知は、朝鮮学校に対する在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の影響力を指摘し、補助金支出の妥当性を十分検討するよう求めた。
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