https://www.cnn.co.jp/m/fringe/35106387.html

(CNN) 米国では働く人のほぼ3分の2が自分の職場環境にある程度のミスマッチを感じているという調査結果を米ランド研究所がこのほど発表した。さらに悪いことに、英国で実施された調査では、失業者が仕事を見つけても職場の環境が悪ければ、身体的なストレス度は失業したままでいる人より高いという結果が出ている。

ランド研究所の調査では、25〜71歳の米国人3000人あまりを対象に、職場の状況などについて尋ねた。

その結果、5人に1人が職場で暴言やセクシュアルハラスメントといった敵対的な人間関係を経験したことがあると回答した。

職場のそうした敵対的関係は、理解ある上司がいれば半分に減ると研究者は指摘している。

調査ではほぼ4人のうち3人が、勤務時間の少なくとも4分の1を集中的あるいは反復する身体労働に充てていると報告。潜在的に危険な職場環境にさらされているという回答は半数を超えた。

4人に1人は勤務時間中にこなしきれない仕事があると答え、約半数は、仕事量をこなすために自由時間も働いていると回答した。特に女性の場合、自分や家族のための時間をつくるのが難しいという回答が男性に比べて多く、収入も男性より少なかった。

過去1年でスキル向上や習得のための研修を受けたという人は約75%に上るものの、今の職場でその成果に見合った展望が見込めるという回答は38%にとどまる。

ただ5人のうち4人は今の仕事に少なくとも1つは意味があると回答。84%は新しいことを学べると回答した。

一方、英マンチェスター大学のタラニ・チャンドラ氏は「悪い仕事は身体の健康にも、心の健康にも良くない」と話す。

同氏のチームが英国で35〜75歳の1116人を対象に実施した調査では、失業状態を脱して質の低い仕事に就いた人は、失業状態が続いている人に比べてストレスの数値を示す数値が高いことが分かった。こうした数値が高いと代謝系や心血管系の疾患につながることもある。

これに対し、質の良い仕事に就いた人は心血管系、代謝系、免疫系ともストレス度を示す数値が最も低かった。

心の健康状態に関しては、失業者が質の低い仕事に就いた場合も、失業者のままでいた場合も改善は見られなかった。

また、スケジュールの柔軟性が低い人ほど、ストレス度を表す数値は高い傾向があることも判明した。「単純に仕事に就くことができたからといって、それだけで失業対策の成否を判断することはできない」とチャンドラ氏は解説している。

2017.08.28 Mon posted at 13:46 JST

職場環境が健康に及ぼす影響について米国と英国の研究者が調査を実施した
https://www.cnn.co.jp/storage/2017/08/28/78a96a32c98ed2c7902b6e3e39c98ca1/t/320/180/d/overworked-at-desk-story-top.jpg