https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170830-00090903-playboyz-soci
 ヒアリ騒動が拡大するなか、警戒しなければならない“虫”はほかにもいる。ダニの一種、マダニだ!
7月上旬には、北海道でマダニに咬まれた70代男性が死亡している。
その死因について、国立感染症研究所の林昌宏氏がこう話す。
「その男性はウイルスを持ったマダニが媒介するダニ媒介脳炎(以下、ダニ脳炎)を6月中旬に発症し、
発熱や意識障害といった典型的な症状が出て入院、7月上旬に亡くなりました」

 林氏がこう続ける。
「ダニ脳炎の患者は国内3例目。発症すれば致死率は30%に及び、助かっても後遺マヒが見られることもある。
発症者で現在、車いす生活を送られている方がいます」

 しかし、ダニ脳炎を抑えるワクチンは現在、「国内未開発」なのだという。法政大学自然科学センター教授で、
『ダニ・マニア』などの著書がある、島野智之(さとし)氏が話す。
「現在、日本では約2千種のダニが記録され、そのうちヒトにウイルスを媒介する恐れのあるダニは約20種類います。
全体の1%にすぎませんが、マダニを原因とする病気は発症数、死亡数共に年々増加傾向にあるのが現状です」

 ダニ脳炎より感染リスクが高いのが『重症熱性血小板減少症候群(SFTS)』だ。
「SFTSはフタトゲチマダニなどが媒介します。感染すると6日から2週間の潜伏を経て、発熱、嘔吐、血尿といった症状が現れ、
重症化すると血小板が著しく減少して多臓器不全となり、最悪は死に至ります」(島野氏)

 国立感染研によると、13年以降の患者数は266人で、そのうち57人が死亡。致死率は20%を超えるが、
こちらも「有効なワクチンがない」(前出・林氏)のが実情という。
そして島野氏も言うように、こうしたダニ感染症は年々、増加傾向にある。

「SFTSは毎年40人から60人の患者が確認されていますが、今年は6月下旬の時点で36人が発症(そのうち4人が死亡)しており、
これは例年の1.5〜2倍のペース。同じくマダニにょる感染症の一種、日本紅斑(こうはん)熱は276人で過去最多でした」(国立感染症研究所)

 なぜこんなにマダニによる感染症が多発しているのか?
ひとつには「13年に初めてSFTSが確認されて以降、自治体の調査が積極的になり、
それまで表に出てこなかった症例が顕在化した」(林氏)ことがあるようだ。

 一方、マダニによる感染被害が相次ぐ広島県の猟友会に所属するハンターはこう見る。
「最近は市街地に野生生物が出没する機会が増えました。ハンターの高齢化による担い手不足や林業の衰退が原因でしょうが、
狩猟に出かけた先でよく見るんです、腹にビッシリとマダニがついたシカやイノシシをね。
こうした野生生物が、ウイルスを持ったマダニを持ってきているのではないかと」

 マダニが人間にウイルスをもたらす方法は、ダニ脳炎もSFTSも共通している。前出の島野氏が解説する。
「マダニは前脚の感覚器、ハラー氏器官で人が吐き出す二酸化炭素を感知し、草や動物から飛び移ります。
その後、体中を這いまわって、血が吸いやすい部位にとどまり、頭部ごと皮膚に食い込ませて吸血する。
その際に出る唾液などと一緒にウイルスが体内に入ります」

 そのマダニの口器は恐ろしいほどハイスペックで…。
「口器は漁師が使う銛(もり)のような返しがついている上、セメント物質を分泌して皮下にしっかり固着させるので、
指で引っ張っても皮膚ごと持ちあがるだけでなかなか抜けません。
また、マダニに刺されても人はなかなか気づかない。それは唾液に混じる成分が痛みをマヒさせているからです。
その状態で放っておくと満腹になるまで1週間程度は吸血を続け、もともと1pにも満たなかった体が、500円玉程度の大きさまで
パンパンに膨れ上がることも」

 また、直接咬まれずとも、ウイルスに感染する恐れがあるのもマダニの怖さだ。
7月24日、厚生労働省がSFTSウイルスに感染しているとみられる野良猫に咬まれた50代女性がSFTSを発症し、
その後、死亡したと発表した。

「また、飼い犬に寄生したマダニを手で潰し、その体液が傷口などから侵入してSFTSを発症した事例や、
マダニの体液が付着した手で目をこすったのか、SFTSの発症と共に失明した例も報告されています」

 さらに、まだマダニはのっぴきならない“アレルギー”を媒介することもある。

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