http://www.bbc.com/japanese/41144243

北朝鮮は6回目の核実験を「完全な成功」と自賛した。観測された揺れの形はこれまでで最大規模の爆発だったと示しているが、直後に実験場のトンネルが崩落した様子で、これは北朝鮮の核開発の進捗状況を知る貴重な手がかりとなるかもしれない。ミドルベリー国際大学院モントレー校核拡散防止研究所の研究者、キャサリン・ディル氏が解説する。

米国と中国による観測は、北朝鮮の実験による揺れがマグニチュード(M)6.3の規模だったと示している。このためすでに、北朝鮮による核実験としては過去最大のものだということは分かっている。

このマグニチュードはざっと言えば、熱核兵器が放出するエネルギー量範囲の下限に近い。つまり第2世代の核兵器で、一つの爆弾が次の爆弾を起爆させより大きい爆発を作り出すという2段階方式のものだ。

どのような設計の核兵器を使った実験かはまだ明らかではないが、揺れの特徴からして、今回の実験の出力は以前の実験による規模より対数的に大きい。
今回の実験の規模は100〜150キロトン級だという試算もある。比較対象とするなら、広島に投下された原爆は、約15キロトンだった。北朝鮮による2016年9月の前回実験は、10〜30キロトンだったと推定されている。

こうした試算ができるのは、実験に使われた核兵器の出力、つまり爆弾の威力を、揺れの規模から計算する数式が作られているからだ。
しかし爆弾の破壊力を知るには、実験場の地理条件やトンネルの深さも関係する。そのすべての情報は得られていないそれだけに、実験の出力情報はいずれも予備的なものに過ぎないのだ。

ならば今回の実験からほかに何が分かるのだろう。実験場でどうやらトンネルが崩落したらしいという情報が、ここで非常に役立つかもしれない。
そのほかには、核実験によって大気中にされる放射性核種の構成を観測するという方法もある。過去の実験では、実験に使われたトンネルはしっかり密閉されていたため、こうした物質の放出はなく、ここ数年は分析できるものがあまり得られなかった。
(>>2以降に続きあり)

(英語記事 North Korea nuclear test: 'Tunnel collapse' may provide clues)

2017/09/04

北朝鮮によるこれまでの核実験とそれによる揺れのマグニチュード比較。今年9月、2016年9月と1月、2013年2月、2009年5月、2006年10月
https://ichef.bbci.co.uk/news/410/cpsprodpb/7D05/production/_97650023_north_korea_nuclear_tests_624map_sept-v1-3.png