英王室は4日、ケンブリッジ公爵夫妻ウィリアム王子とキャサリン妃(35)の第3子が誕生予定だと発表した。妃は今回も、ひどいつわりに苦しんでおり、同日の公務出席を中止した。
夫妻の公邸で公務などを管理するケンジントン宮殿は、エリザベス女王をはじめ、王子と妃の家族全員が「大喜びしている」と明らかにした。
発表によると、キャサリン妃はこれまでの2回の妊娠と同様、ひどいつわりの「妊娠悪阻」に苦しんでおり、ケンジントン宮殿で静養中。4日午後に予定されていた、ロンドンのホーンジーロード子供センター訪問を取りやめた。
夫妻には、4歳のジョージ王子と2歳のシャーロット王女がいる。
これまで2回の妊娠では、大半の女性が最初の超音波検査を受ける妊娠12週の前に、夫妻は妊娠を発表していた。妊娠悪阻でキャサリン妃が体調を崩していたのが理由で、ジョージ王子を妊娠した際には2012年12月に入院した後、妊娠わずか数週目で公表していた。
シャーロット王女の際は2014年9月に、同じ症状のため宮殿で治療を受けたときに発表した。
妊娠悪阻は妊婦の200人に1人がかかり、ひどい吐き気や嘔吐などの症状が出る。主に脱水症状などの危険がある。
BBCのニコラス・ウィッチェル英王室担当編集委員は、今回の発表はケンブリッジ公爵一家にとって「大事な週」の始まりに重なったと指摘。「なぜならジョージ王子が小学校に通い始める」からだ。
ウィッチェル記者は「おそらく母親のキャサリン妃が、小学校の送り迎えをするつもりだったが、そこまで体調が回復するかは様子を見なければならないだろう」と話した。
「ウィリアム王子とキャサリン妃は今秋、外遊も予定していたが、それも公爵夫人の体調次第だ」
生まれてくる子供は、エリザベス女王の6人目のひ孫となり、チャールズ皇太子、ウィリアム王子、ジョージ王子、シャーロット王女に続き、王位継承順位5位となる。
英国では2015年3月、女性にも男性と同様に王位継承権が認められるよう、法律が改正された。
公務でマンチェスターを訪れていたハリー王子の継承権は、兄の子供が新しく生まれた時点で6位に下がる。ハリー王子は知らせについて、「素晴らしい」、「とてもとてもうれしい」と喜んだ。
チャールズ皇太子夫妻の公邸で公務を管理するクラレンスハウスは、チャールズ皇太子とカミラ夫人が「大喜びしている」とツイートした。
テリーザ・メイ首相はツイッターで「素晴らしい知らせです」と夫妻を祝福した。
<解説>王室の未来の形を――ピーター・ハントBBC英王室担当編集委員
ウィリアム王子とキャサリン妃は、自分たちを取り巻く状況を自分たちでコントロールすることを非常に重視している夫妻だが、またしてもそうは思い通りにはいかなかった。
今回もまた、自分たちではどうしようもない状況によって。
夫妻は今回も望むより早い段階、妊娠初期の段階で、妊娠を発表するしかなかった。公爵夫人が非常に重いつわりで苦しんでいるからだ。
夫妻は公務をもっと引き受けるつもりだったが、今では新しい家族を歓迎する準備に取り掛かっている。
夫妻の子供がまた一人増えれば、世界的に注目される。生まれてくる子供の祖母は、亡きダイアナ元妃だ。
この王女または王子が王位に就く見込みは、ほとんどない。現状では、王になるという未来は兄、ジョージ王子のものだ。
つまり来年に予定される誕生に、憲政上の意味合いはない。しかし、すでにかなり確かなものに見える古くからの王家は、国の制度として一層強化された形だ。
ケンブリッジ公爵家の子供3人は、21世紀の後半に至るまで英王室の未来を形作っていくことになる。
第3子が王位についたことは
第3子が王位に就くのは珍しく、現在のウィンザー朝ではまだ例がない。
しかしハノーバー朝時代、ジョージ3世とシャーロット王妃の第3子が1830年から1837年にかけて、ウィリアム4世として国を治めた。
これは兄のジョージ4世が世継ぎのないまま亡くなったためで、ウィリアム4世は64歳で即位。62歳の時に、2番目の兄のヨーク公フレデリック王子が死去し、その時点で王位継承権1位となっていた。
(英語記事 Royal baby: Duchess of Cambridge expecting third child)
2017/09/05
ケンブリッジ公爵夫妻は今年7月のポーランド公式訪問に、ジョージ王子とシャーロット王女を伴って出かけた
https://ichef-1.bbci.co.uk/news/410/cpsprodpb/13EA7/production/_97657518_84bc3912-70e6-4f62-9b8b-de783b01a236.jpg